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3戦連続“1-0”の徳島北が初優勝!前回選手権、総体Vの徳島市立にリベンジ達成:徳島

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初優勝を果たした徳島北高

[11.12 選手権徳島県予選決勝 徳島市立高0-1徳島北高 徳島市球技場]

 第96回全国高校サッカー選手権大会徳島県予選は12日、徳島市球技場で決勝を行い、前回大会覇者の徳島市立高を1-0で破った徳島北高が開校・創部21年目で初めての全国選手権出場を決めた。同カードだった夏のインターハイ予選決勝では惜しくも敗れていたが、最後の大舞台で見事にリベンジを果たした。

 春先の新人戦で県制覇を成し遂げた徳島北だったが、今年6月に行われた県総体、四国総体では、いずれも徳島市立と決勝で対戦し、0-1で敗れた。「どっちも同じような負け方。決め切るべきところを決め切れず、失点をしてしまった」(佐藤城介監督)と、反省すべき点は明確だった。

 そこで今大会は「決めるところで落ち着いて決めること、気が抜ける時間をつくらないこと」を徹底した。すると準々決勝、準決勝にいずれも1-0で競り勝ち、決勝の舞台で“リベンジマッチ”を実現。佐藤監督は「やり返すのはここしかないぞ」と発破をかけ、選手たちを送り出した。

 序盤から徳島北が主導権を奪いにかかった。前半3分、MF小林竜來(2年)の左CKがこぼれたところから、長身のFW久米川直也(2年)が空中戦で競り勝ち、FW池田匡志(3年)が強烈なシュート。惜しくも相手ディフェンスに阻まれたが、立ち上がりの勢いそのままに決定機をつくった。

 ところが、スキルフルな前線を擁する徳島市立も徐々に持ち直していく。前半19分、左サイドを攻め上がったDF原田隼佑(2年)のクロスを起点に敵陣ゴール前で混戦を展開。立て続けにシュートを放ったが、MF岡健太(2年)の渾身の一発がクロスバーを直撃するなど、仕留め切ることはできなかった。

 スコアレスで迎えた後半も、立ち上がりは徳島北のペースとなった。MF扶川怜央(3年)のパスを受けた小林が右サイドを切り裂き、PA内深くまで侵入して右足でシュート。これは惜しくも枠を外れたが、同8分には、ゴール左斜め前からの小林のFKに対し、扶川が高い打点のヘディングで狙い、徳島市立ゴールを襲った。

 それでも時間が経つにつれ、またしても徳島市立がギアを上げる。後半9分、FW岡田京介(2年)のドリブルシュートはGK儀宝智也(3年)に見事な横っ飛びで防がれたが、同17分には最大の決定機。左サイドで浮き球を収めたFW小延将大(3年)のクロスをファーサイドで岡田が頭で落とし、原田がダイビングヘッドで押し込むも、岡田にオフサイドがあったとして得点は認められなかった。

 さらに徳島市立は後半24分、左サイドを抜け出した岡田がグラウンダーでアーリークロスを送り、ファーサイドで岡が合わせるも枠外。同26分には、敵陣でパスカットを見せた岡が小延とのワンツーで抜け出し、GKと1対1でシュートを放ったが、またしても儀宝が見事な反応ではじき出し、得点を奪うことができなかった。

 すると後半30分、ついにスコアが動く。敵陣でファウルをもらった徳島北が、直後のプレーで押し込んで右CKを獲得。これを「キックには自信がある」という小林が低い弾道で中央に送り込むと、指揮官から「力強く身体で入っていけ!」と指示されたばかりのDF川久保燎(3年)がヘディングでねじ込んだ。

「セットプレーはニアとファーのパターンを練習していた。ニアのサインが出たので、相手のマークを素早く外して、突っ込んで行こうと思った」(川久保)。決勝に向けたトレーニングでは先発の当落線上となっていたが、「セットプレーのヘディングにウエイトを置いた。案外、川久保は点を取っているので」(佐藤監督)という起用が見事に的中した。

 県総体、四国総体で遠かった1点を奪った徳島北は「控え部員だけでなく、OBも大応援団で来てくれた」(佐藤監督)というスタンドの声援に後押しされ、さらにテンションを上げていく。相手の攻撃の中心を担う小延、岡田の2トップに激しいプレスをかけると、カウンターではMF富士智樹(2年)、MF濱田祐輔(3年)らが疲れを感じさせない走りからチャンスをつくった。

 あとがない徳島市立は後半40分、右サイドを抜けた岡田のクロスに対し、ファーサイドを攻め上がっていたDF鉄谷洸樹(3年)が狙うも、シュートコースに入った川久保が身体を投げ出してブロック。最後まで小林、富士の両サイドハーフが最終ライン近くまで下がった徳島北の守りを崩せず、2年連続の全国行きはならなかった。

 監督就任10年目で栄冠を手にした佐藤監督は試合後、「我慢強い試合ができて、そこでリズムがつくれた」と選手たちの踏ん張りをたたえた。チームの持ち味は前線の技術を生かした攻撃だが、今大会ではわずか1失点。「総体までは不用意なミスや失点があったので、練習は守備的なものが多かったんです」と課題を乗り越えてきた成果であることを明かした。

 徳島北にとっては、指揮官が就任3年目だった2010年にインハイ出場を果たして以来の全国大会だ。「守備の弱さはまだあると思うので、もっとチーム全体でピンチをできるだけつくらない守備をしていかないといけない」(佐藤監督)。多くの選手たちが「まずは1勝」と声をそろえる目標に向け、まずは守りに力を入れて、初めての“冬”に臨む。

(取材・文 竹内達也)
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