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流経大柏出身FW4人衆が“7年間の集大成”…「当日朝」のスタメン変更、インカレ決勝で同時先発ピッチ

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流通経済大柏高出身のFWが4人同時に先発のピッチに立った

[12.24 全日本大学選手権決勝 流通経済大5-1法政大 浦和駒場スタジアム]

 7年間の集大成を飾る試合だった。高校時代、系列校の流通経済大柏高でプレミアリーグチャンピオンシップを制して日本一になった世代が最終学年を迎えた今季。中野雄二監督が言う「タイトルを獲り続けないといけない世代」が今季初タイトル、流通経済大(関東3)にとっては、3年ぶりとなる日本一の称号をもたらした。

 FW森永卓(4年=流通経済大柏高)、FW立花歩夢(4年=流通経済大柏高)、FWジャーメイン良(4年=流通経済大柏高)、FW星野秀平(4年=流通経済大柏高)。決勝のピッチに流経大柏出身FW4人衆が、先発メンバーとして並んだ。

 突然のメンバー変更だった。前日までの練習では森永と立花は先発組に入って参加していたが、ジャーメインと星野は控え組だったという。先発を告げられたのは決勝当日の朝。「全然、先発で行く準備をしていなかった」と苦笑いを浮かべるしかなかったという星野だが、「でも4人で出れんじゃんってなってテンションが上がった」。

 4人のFW。高校時代からしのぎを削ってきた戦友で、試合になると最低でも常に誰か一人は、ベンチからのスタートを余儀なくされていた。共存は不可能なまま、大学に進学後もその競争は続いた。だがそんな彼らに今年9月、後期リーグの開幕戦から4人同時に先発するチャンスが与えられた。

 後期リーグを好調に戦い終えたチームは、リーグ戦を3位でフィニッシュ。過密日程のインカレではなかなかその布陣が試されることはなかったが、タイトルのかかった大一番、インカレ決勝で星野の1トップ、2列目に右からジャーメイン、森永、立花が並ぶ布陣がとられた。

「高校の時も、大学でも誰が出てもおかしくなかった。誰が出ても応援し合える4人だったと思うので、最後に4人で出れてよかった」(森永)

「あの4人で試合に勝てるのは嬉しい。高校卒業でプロに行けなかったメンバーなので、一泡吹かせたかった」(立花)

「7年目のチームメイト。最後は笑って終わりたいと強く思っていた。家族みたいなもの。4人で最後出れたらいいねと話していたので、叶ってよかった」(ジャーメイン)

「歩夢が決めてくれて良かった。今日、俺は全然だったけど、高校も最後優勝して終われたし、大学も優勝できて終われたので、最高な7年間だったと思います」(星野)

 特別な試合を終えた4人。卒業後は別々の道を歩む。ジャーメインはベガルタ仙台、立花は横浜FCに進むことが決定。星野と森永はまだ決まっていない。星野はあくまでもサッカーを続けることにこだわるつもりだが、153cmの小さな体、地元福岡県から上京して戦い続けてきた森永は、「何もかもが未定」だという。

 だが高校時代の同僚でもあったMF青木亮太(名古屋)やMF小泉慶(新潟)、早稲田大から名古屋に入るMF秋山陽介らを挙げて、「一緒にサッカーをやっていて、こういうやつが行くんだなという思いがずっとあった」と回想した森永は、「次は応援される側からする側になるのも悪くないかな」と充実感も漂わせていた。

(取材・文 児玉幸洋)
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