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指揮官と主将が最大級の賛辞…前橋育英MF塩澤隼人「逃げずにやってきてよかった」

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塩澤隼人と田部井涼(14番)は二人三脚でチームを引っ張った

[1.8 全国高校選手権決勝 流通経済大柏高 0-1 前橋育英高 埼玉]

 前橋育英高(群馬)で部長を担う塩澤隼人(3年)は、指揮官と主将が認める絶対的な存在だ。

 前橋育英の中盤の底には、準優勝した昨年のMF大塚諒(立教大)とMF長澤昂輝(東洋大)に引き続き、主将(田部井涼)と部長(塩澤)が入った。MF田部井涼(3年)は「シオがいなかったらやってこれなかった」とまで言い切り、塩澤の存在の大きさを語る。「いまだから言うけど、自分が苦しいときや折れそうなときもシオが声を出しているから、俺もやろうと思った」。普段から雄弁な田部井涼だが、“相棒”の話になるとさらに声のトーンは上がる。「私生活のことはシオが言ってくれる。サッカーのことでは(自分が)言えばよかった」と二人三脚で走ってきた。卒業後はそれぞれ都内の大学へと進学。塩澤は東洋大で、田部井涼は法政大でサッカーを続ける。「あいつのことは自分が一番わかっていると思うので、(試合を)やったときはマンマークで対応します(笑)。負けられないっすね」と主将は笑顔を見せた。

 昨年は塩澤が同校のエースナンバーである「14」を背負い、今年は田部井涼が引き継いだ関係性でもある両者。ダブルボランチとして「1年間ずっと隣にいた」(塩澤)が、今大会では田部井涼が3回戦の富山一高(富山)戦で負傷してしまう。主将が準々決勝と準決勝を欠場した中、キャプテンマークを巻いた塩澤は、セカンドボールを拾いまくる獅子奮迅の活躍を見せた。そして迎えた決勝戦。キャプテンマークを巻いた背番号14は帰ってきた。「最後は涼と一緒にピッチに立って、一緒にプレーして日本一を取れてよかったです」と“相棒”とともにつかんだ優勝に白い歯をこぼした。

 塩澤と田部井涼は前橋育英自慢の4バックとともに固い守備ブロックを形成。ここまで16本、19本、14本、12本と相手を凌駕するシュート数を放ってきた流経大柏攻撃陣を、わずか3本に押さえ込んだ。流経大柏はボールを奪っても2本、3本とパスをつなげては前橋育英守備網に引っかかった。「まだまだですね」と塩澤は首を傾げる。「セカンドボールの出足が遅かった部分がまだあった。もっとやらなきゃいけない」。優勝してもなお、自身には厳しい評価をつける。

 3年間指導してきた山田耕介監督の、塩澤と田部井涼に対する評価はすこぶる高い。「(評価は)どっちも(最高点の)『5』です。ものすごくリーダー性があります。選手間同士の受け答えとか、色々選手がいるじゃないですか。やんちゃだなとか、暗いな、という選手にも大人のような対応ができる」と惜しみない賛辞を贈った。

「苦しいこととかあったんですけど、逃げずにやってきてよかった」と有終の美で飾った高校3年間。4月からは新たな挑戦が待っている。「チームとして日本一を取れたんですけど、欲を言えば個人的には優秀選手入れなくて悔しい思いをした」。中盤より前の選手では唯一全試合フル出場を果たし、優勝に大きく貢献したが大会優秀選手に塩澤の名前はなかった。「いまいる(前橋育英の)選手たちはライバルになってくるので、日々努力して大学でも1年生からメンバーに入れるようにがんばっていきたいと思います」。飽くなき向上心を持つボランチは、新たなステージに挑む。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2017

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