内田篤人、“必然”の鹿島復帰を後押しした2人の男の存在
鹿島アントラーズは10日、茨城県内のホテルで2018シーズン新体制・新加入選手発表会見を行い、ウニオン・ベルリンからの完全移籍で約7年半ぶりに復帰したDF内田篤人ら新加入選手5人が出席した。
10年7月にシャルケに移籍して以来、8シーズンぶりの古巣復帰。「鹿島を出るときから、体が動くうちに戻ってきたいと思っていた」。06年に清水東高から入団し、4シーズン半プレーした鹿島では07年から09年までのJリーグ3連覇など数々のタイトルを獲得。海外移籍後も将来的な鹿島復帰は“既定路線”だった。
昨年8月に出場機会を求めてシャルケからドイツ2部のウニオン・ベルリンに完全移籍したが、契約は今年6月までの1年間。もともとシャルケとの契約も今年6月までで、「そのときヨーロッパで契約延長の話が出たとしても、(鹿島に)戻ってくるつもりだった」と明かす。当初の“予定”からは「半年早いぐらい」という必然の復帰でもあった。
シャルケではDFBポカールやドイツスーパー杯優勝を経験し、10-11シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでは日本人として初めてベスト4にも入った。それでも「もともと海外でやりたくて仕方がないという選手ではなかった。なんとなく流れで(海外に)出たら、何回か契約延長して長くなっちゃった」と、いずれJリーグに戻ることは常に頭の中にあった。
日本に戻ってくるなら鹿島というのは最優先事項だった。「ただ単に好きだから」という愛着はもちろん、鹿島の強化責任者を務める鈴木満常務の存在も大きかった。シーズンオフに帰国してクラブハウスに顔を出せば、そのたびに「そろそろ戻ってきたらどうか」と声をかけられていたが、「今回は本気だった。メールを何回かもらって、その文章であったり、雰囲気であったり。即答で『戻ります』と答えた」という。「(鈴木)満さんのところに帰ってきたという感じ」とまで話す信頼関係。「(10年に)出ていくときにも『戻ってきます』と話していた。軽い口約束だったけど、契約より口約束のほうが重かった」と、約束はしっかり果たされた。
偉大な先輩からの後押しもあった。同じように海外移籍を経て鹿島に復帰し、クラブに数々のタイトルをもたらしてきたMF小笠原満男からも今回の移籍を決断する前に連絡をもらった。その内容については「勝手に言うわけにはいかないので内緒にさせて」と明かさなかったが、「普段はほとんどメールもくれない。ゴルフの誘いぐらい」という尊敬する先輩からの言葉が「最後の一押しになった。あれで決まりだった」と、背中を押されたのだという。
海外でさまざまな経験をしてきたからこそ、それをJリーグに還元したいという思いもある。「日本とドイツでは歴史が違う。こんなことを言うと怒られるかもしれないけど、めっちゃ差はある」。その差は縮まるどころか、さらに広がっているという危機感もある。だからこそ、「それを見てきた選手が日本に帰ってきてプレーするべきじゃないか。伝えていくことも大事だと思う」と考えるようになった。
練習の中で、あるいはロッカールームで、言葉で伝えていくこともあるだろう。「俺は(小笠原)満男さんほど無口じゃないので、若い選手とも話したい」と冗談交じりに話すと、「基本は(小笠原)満男さん。後ろ姿で『こうやって勝っていくんだよ』『チームをつくっていくんだよ』ということを示してくれる。俺はずっと試合に出ていないし、まずは試合に出てプレーで見せていかないと」と、何よりも「プレーで見せたい」と力を込めた。
7年半ぶりのJリーグに簡単に適応できるとは思っていない。「先に言い訳をするわけじゃないけど、リーグが違えば、ボール一つ取っても違うし、芝生の硬さだったり、水をまいていたり、そういう違いは(リーグが)始まったら痛感すると思う。ドイツでやれているから日本でもやれるというのは全然違う」。今年3月で30歳になる右サイドバックは「細く長くはイメージしていない。太く短く、太く長くというのが自分のサッカー人生。折り返しを過ぎて、終わりも見えている」と、そのキャリアも終盤を迎え、新たな挑戦の第一歩を踏み出した。
(取材・文 西山紘平)
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10年7月にシャルケに移籍して以来、8シーズンぶりの古巣復帰。「鹿島を出るときから、体が動くうちに戻ってきたいと思っていた」。06年に清水東高から入団し、4シーズン半プレーした鹿島では07年から09年までのJリーグ3連覇など数々のタイトルを獲得。海外移籍後も将来的な鹿島復帰は“既定路線”だった。
昨年8月に出場機会を求めてシャルケからドイツ2部のウニオン・ベルリンに完全移籍したが、契約は今年6月までの1年間。もともとシャルケとの契約も今年6月までで、「そのときヨーロッパで契約延長の話が出たとしても、(鹿島に)戻ってくるつもりだった」と明かす。当初の“予定”からは「半年早いぐらい」という必然の復帰でもあった。
シャルケではDFBポカールやドイツスーパー杯優勝を経験し、10-11シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでは日本人として初めてベスト4にも入った。それでも「もともと海外でやりたくて仕方がないという選手ではなかった。なんとなく流れで(海外に)出たら、何回か契約延長して長くなっちゃった」と、いずれJリーグに戻ることは常に頭の中にあった。
日本に戻ってくるなら鹿島というのは最優先事項だった。「ただ単に好きだから」という愛着はもちろん、鹿島の強化責任者を務める鈴木満常務の存在も大きかった。シーズンオフに帰国してクラブハウスに顔を出せば、そのたびに「そろそろ戻ってきたらどうか」と声をかけられていたが、「今回は本気だった。メールを何回かもらって、その文章であったり、雰囲気であったり。即答で『戻ります』と答えた」という。「(鈴木)満さんのところに帰ってきたという感じ」とまで話す信頼関係。「(10年に)出ていくときにも『戻ってきます』と話していた。軽い口約束だったけど、契約より口約束のほうが重かった」と、約束はしっかり果たされた。
偉大な先輩からの後押しもあった。同じように海外移籍を経て鹿島に復帰し、クラブに数々のタイトルをもたらしてきたMF小笠原満男からも今回の移籍を決断する前に連絡をもらった。その内容については「勝手に言うわけにはいかないので内緒にさせて」と明かさなかったが、「普段はほとんどメールもくれない。ゴルフの誘いぐらい」という尊敬する先輩からの言葉が「最後の一押しになった。あれで決まりだった」と、背中を押されたのだという。
海外でさまざまな経験をしてきたからこそ、それをJリーグに還元したいという思いもある。「日本とドイツでは歴史が違う。こんなことを言うと怒られるかもしれないけど、めっちゃ差はある」。その差は縮まるどころか、さらに広がっているという危機感もある。だからこそ、「それを見てきた選手が日本に帰ってきてプレーするべきじゃないか。伝えていくことも大事だと思う」と考えるようになった。
練習の中で、あるいはロッカールームで、言葉で伝えていくこともあるだろう。「俺は(小笠原)満男さんほど無口じゃないので、若い選手とも話したい」と冗談交じりに話すと、「基本は(小笠原)満男さん。後ろ姿で『こうやって勝っていくんだよ』『チームをつくっていくんだよ』ということを示してくれる。俺はずっと試合に出ていないし、まずは試合に出てプレーで見せていかないと」と、何よりも「プレーで見せたい」と力を込めた。
7年半ぶりのJリーグに簡単に適応できるとは思っていない。「先に言い訳をするわけじゃないけど、リーグが違えば、ボール一つ取っても違うし、芝生の硬さだったり、水をまいていたり、そういう違いは(リーグが)始まったら痛感すると思う。ドイツでやれているから日本でもやれるというのは全然違う」。今年3月で30歳になる右サイドバックは「細く長くはイメージしていない。太く短く、太く長くというのが自分のサッカー人生。折り返しを過ぎて、終わりも見えている」と、そのキャリアも終盤を迎え、新たな挑戦の第一歩を踏み出した。
(取材・文 西山紘平)
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