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異彩を放つ新生マリノス、1点目は足元パスで『11人経由』…守備では“左傾”の課題も

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スターティングメンバー11人を足元パスだけで経由して得点した横浜F・マリノス

[4.21 J1第9節 横浜FM 4-4 湘南 日産ス]

 今季からアンジェ・ポステコグルー監督が指揮を執る横浜F・マリノスは、9試合目にして初の複数得点を記録した。システマチックなポジション取りでボールを前進させる攻撃に加え、この日は狙いどおりのセットプレーでも1ゴール。一方、4失点を喫した守備では、ポジショニングに課題を残したようだ。

 試合記録を見ると、前半だけでハットトリックを記録したFWウーゴ・ヴィエイラの活躍が目を引くが、得点経過も異彩を放っていた。3つのゴールに関わったパスは計30本。これだけでも珍しく多い数ではあるが、そのうち受け手を走らせるようなパス、いわゆる“スペースに出すパス”は3点目のわずか1本だけ。すなわち、足元で受けられるポジション取りが命綱だということになる。

 中でも圧巻だったのが前半27分の1点目だ。自陣深くでボールを奪ったDF松原健から足元パスを連発し、FWオリヴィエ・ブマルのラストパスまで計17本。ヴィエイラが最後に受けた時点で、ピッチ上の全11人を経由したことになり、まさに“つなぎ倒した”ゴールとなった。

 さらに前半44分、たった55秒で決まった2ゴールでも攻め急いだ様子は見られない。2点目は相手ロングボールが流れた先のGK飯倉大樹が起点となり、左サイドを中心に8本をつないで得点。直後の3点目でも、MF扇原貴宏からDF山中亮輔へのボールはスルーパス気味だったが、自陣スローインから5本でゴールを陥れた。

 このようなスタイルについて、湘南のチョウ・キジェ監督は「フロンティアスピリットというか、ボールを持って意図的に相手ゴールに攻め込んでいる」と賞賛を惜しまず。当の選手たちに聞いても、ドローという結果には悔いを残していたが、一様に「攻撃は良い形がつくれた」と手応えを感じていた。

 一方、その裏を返せば、守備に課題があるということだ。ここでも聞かれた言葉は「ポジショニング」という観点。左サイドバックで存在感を放っていた山中は「こっちサイドで崩せていたこともあるけど、ちょっと人数をかけすぎていた」と明かした。

 湘南の奪った4得点のうち、ミスにつけ込んだMF菊地俊介のシュートを除けば、手薄な右サイドで違いをつくられた形であった。1失点目はFWアレン・ステバノヴィッチに独走されたことによるもの。2~3失点目は人数をかけた密集での連携ミスを突かれ、右サイドから一気に飛び込まれた。

 右で孤立気味だったDF松原健は「狙われているのは感じた」としながらも「もっとワンタッチではたいたり、いなせば楽になっていた」と自身に責任を見いだしたが、山中は「自分が行くわけにはいかないけど、ちょっとかわいそうだった」と指摘。「インサイドハーフのところでもう少し調整できれば」と話した。

 また、その中盤でタクトを振るっていた扇原も「その部分は試合後にも話し合った」と問題は共有していた様子。MF天野純とのダブルボランチだったため、「左利きが並んでいたのもあると思う」と原因を推測すると、「もっとバランスを見てやっていきたい」と次節へ向けて修正を誓っていた。

(取材・文 竹内達也)

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