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助っ人対策は互いに的中、セットプレーが命運分けた? 柏MF大谷の見解は「その前」

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横浜FCが首位の柏レイソルを破った

[10.6 J2第35節 横浜FC1-0柏 ニッパツ]

 互いに強力な外国籍選手を擁する上位対決。ともに相手の対策は十分に機能していたが、最後に勝負を分けたのはセットプレーだった。横浜FCは後半アディショナルタイム1分、MFレアンドロ・ドミンゲスのCKからDFカルフィン・ヨン・ア・ピンがギリギリで競り勝ち、最後はラッキーボーイのFW草野侑己が押し込んだ。

 首位と3位が激突した一戦。独走状態の柏レイソルはFWオルンガ、FWクリスティアーノ、MFマテウス・サヴィオの3選手を並べ、横浜FCもヨン・ア・ピン、レアンドロ・ドミンゲス、FWイバという超J2リーグ級の3選手を起用し、互いの対応が一つのキーポイントとなった。

 柏のMF大谷秀和にとって、レアンドロはかつて2010年にJ1リーグを共に制した元チームメート。当時も指揮していたネルシーニョ監督にとっても見知った間柄であり、イバとの縦関係を含めた相手のストロングポイントは最大限の警戒をしていたという。

「監督もやっぱりレアンドロのところは気をつけていた。自分と三原のところで必ず1枚彼につくというか、完全につくというわけじゃないけど、いつもは自分たちの背中にいる時はCBに渡したりもある。ただ、今日はレアンドロのところを空けないように」(大谷)。

 一方、横浜FCも3トップ気味に攻めてくる相手3選手に細心の注意を払って対応していた。スピードとフィジカルに献身性を併せ持つオルンガには、同様の長所を持つヨン・ア・ピンがほぼ1対1で応対。両サイドではDF北爪健吾、DF武田英二郎の両サイドバックが我慢強くついていった。

「クリスティアーノだけですね。カウンターでボールが来た時にフリーにしたらやられるので、うちが攻撃した時はクリスティアーノにずっとついていて、そこ絶対にやられたらいけないという気持ちしかなかった」(武田)。

 そうした両チームの対策は実り、両チームともに最終盤まで均衡を破ることはできず、逆にスコアを動かされることもなかった。それぞれのベテランDFからは「監督が落とし込んでくれたことを表現できた」(柏DF染谷悠太)、「やられたという感じはしないし、失点もゼロで抑えられたのである程度やれた」(横浜FC・武田)と手応えが語られた。

 しかし、試合はホームの横浜FCがモノにした。セットプレーへの対応が勝敗を分けたかのように思われるが、「結果を見れば昇格を争う相手に勝ち点3を与え、自分たちはゼロだったので痛い負け。あの時間で0-0で終わるゲーム運びをしなければならなかった」と悔やんだ大谷からは異なる見解が提示された。

「セットプレーだったけど、その前に深い位置で相手のFKで早くリスタートされてゴール前まで持って行かれた。集中が切れたとは思わないが、切り替えのところで自分たちのほうでスキを与えた」。

 大谷が悔やんだのは後半45分、オルンガのタックルで敵陣深くの相手FKからプレーが再開されたが、相手のクイックリスタートでファーストプレスが遅れたためカバーに入った大谷の対応も遅れ、北爪に右サイドを突破された場面だ。クロスに合わせたFW斉藤光毅のシュートは染谷がブロックするも、このCKから失点が生まれていた。

 なお報道陣に配布されたハーフタイムレポートによると、後半を見据えたネルシーニョ監督からは「ファウルを犯したあと、すぐに守備に切り替えること」という予言めいたアドバイスも送られていた。

「切り替えのことは言われていた。あの場面は深い位置だったからじゃないけど、前にスペースを与えてしまった。あのシチュエーションを作ってしまったと思う。セットプレーが……というより、そこに至るまでのシチュエーションが自分たちにとっては改善しないといけないこと」(大谷)。

 チームリーダーの言葉に口を揃えるように、左サイドで最後の壁となり切れなかったDF古賀太陽も反省の弁を語った。

「(失点は)セットプレーでしたが、その前のセットプレーにさせたシーンも自分の背中を使われたので、一つ背中を取られるだけでああいう形になってしまうというのは反省しないといけない。自分たちの緩みがあったのかなと思う。最低でも勝ち点1を拾わないといけない試合だった」(古賀)。

 上位対決での痛い勝ち点0。一方、2位とは依然『6』差があり、残り7試合を変わらぬリズムで戦い続けることが重要になる。指揮官は試合後「残りを戦い抜く上で非常にいい教訓になる」と述べれば、選手からも「この負けを意味のあるものにしないといけない」(染谷)との声。そこでの“反省”にも大谷が語るようなディテールが伴っているともなれば、この先の戦いにも死角はなさそうだ。

(取材・文 竹内達也)
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