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[新人戦]蒲原監督と10番MF小屋が日本高校選抜に参加して高まった“基準”。佐賀東が初出場校の飯塚撃破!:九州

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後半23分、佐賀東高は1年生FW吉田陣平が決勝ゴール

[2.15 九州高校(U-17)大会予選リーグ第1節 佐賀東高 2-1 飯塚高 福岡フットボールセンター]

 日本高校選抜の活動から学び、基準を上げた佐賀東が初戦を制す――。第41回九州高校(U-17)サッカー大会(新人戦)が15日、福岡県内で開幕。第3ブロックの第1節で佐賀東高(佐賀1)と飯塚高(福岡2)が対戦し、佐賀東が2-1で競り勝った。

 20年日本高校選抜監督でもある蒲原晶昭監督が指揮を執る佐賀東は、“基準”を引き上げて新シーズンに臨んでいる。佐賀県新人戦は7年ぶりに優勝。迎えた九州大会初戦では、注目の初出場校・飯塚に黒星をつけた。

 後方から徹底してボールを繋いでくる飯塚に対し、佐賀東は前から人数を合わせてプレッシャーをかける。緊張のためにボールコントロールの多くがズレていた飯塚からインターセプトすることに成功していた佐賀東は前半15分、セットプレーから先制点。日本高校選抜FW小屋諒征(2年)の右CKをファーサイドのMF寺崎朋範(2年)がエンドラインギリギリで折り返し、最後は中央のCB岡部羽弥(2年)が先制ヘッドを叩き込んだ。
 
 失点後からパスワークに精度とリズムが出た飯塚は20分、中央の右SB黒木翔海也(2年)が左サイドのFW赤嶺泰地(2年)へボールをさばく。そして、赤嶺が縦への仕掛けからグラウンダークロス。これが相手DFのオウンゴールを誘い、1-1の同点に追いついた。

 その後もMF野見山楽斗(2年)や黒木中心にボールを繋ぎながらゴールへ向かう飯塚のペース。だが、佐賀東は後半開始から期待の1年生FW吉田陣平を投入して再び流れを引き寄せる。好守から持ち味である距離感の良いパスワークやショートカウンターで決定的なチャンスも作り出した。

 飯塚も注目CB川前陽斗(2年)らがその攻撃を封じると、逆にポゼッションから相手の守りを動かしてスペースを作り出し、そこを突く形でチャンスを作り返す。球際の強度ある攻守が見られたゲームは、佐賀東が次の1点を奪い取った。後半23分、佐賀東はパスを繋ぎながら前進すると、中央の寺崎が左サイドを駆け上がったSB平川周汰(1年)へパス。このクロスを中央の吉田が頭で左隅へ沈めて決勝点となった。

 飯塚は反撃するも決定機を活かすことができず。中辻喜敬監督は「九州大会で力をそのまま発揮するのは難しいと思いました」と語った。一方、勝った佐賀東の蒲原監督は高校選抜の活動、指導を通して「それまでOKだったことがOKじゃない、と。全国を見て基準をどこに置くのか」考えさせられたという。高校日本一となり、高校選抜にも多くの選手を送り出している静岡学園高(静岡)はテクニックや判断力が注目されるが、彼らは常にハードワークする姿勢や攻守の切り替えの速さを兼ね備えていた。「なるほどな、と思った」ことを佐賀東でも求め、それがこの日も球際の強度や切り替えの速さ、攻撃の精度などにも表れていた。

 蒲原監督とともに日本高校選抜を経験した小屋は「(高校選抜の選手は)プレスとか攻守の切り替えとか全然違っていたし、トラップもパスも一つ一つの質が違っていて良い経験になりました。全国上位、優勝のレベルを実感できたので、それをチームに伝えていくことが自分の仕事だと思っています」と語る。佐賀の名門は先頭に立って経験を伝える10番や指揮官の下で“基準”を上げてまず九州1勝。そして、小屋は「チームとしては優勝目指していて、(上位チームが出場権を得る)サニックス(カップ)に出て強い相手と戦いたい」と意気込んだ。

 佐賀東は第2節で創成館高(長崎)に1-2で惜敗。一方、初戦から立て直した飯塚は神村学園高(鹿児島)に4-0で快勝し、ともに1勝1敗で最終節を迎えることになった。

(取材・文 吉田太郎)

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