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[蹴活生ガイド2020(関西)]市船時代はサブも細部に拘り、関西選抜へ。関西大FW矢野龍斗は「可能性を感じて貰える選手に」

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関西大FW矢野龍斗はプロ入りを果たし、市立船橋高時代の仲間たちに追いつく

 武器はフィジカルの強さを活かしたポストプレーや力強い突破。関西大のFW矢野龍斗(4年=市立船橋高)は、実力者が揃う関西学生サッカーリーグでも簡単には封じられない。大学最終年にして初めて関西学生選抜にも選ばれた今年は、飛躍の予感が漂う実力派ストライカーだ。

 今でこそ能力の片りんをピッチで見せつけるが、名門・市立船橋高(千葉)時代は持てる力を出し切れていたとは言い難い。主力と言える存在ではなく、チームは3年時の夏にインターハイ優勝を果たしているものの、矢野はメンバー外だった。選手権全国大会も出場時間はゼロ。高校卒業後は関東の大学ではなく、心機一転、縁もゆかりもない関西の地を選んだ。

 大学に入学した当初は、これまでの力任せなプレーが通用せず、スピードの違いにも戸惑った。「ただ食らいついていくのに必死だった」というが、DF荒木隼人(現広島、19年日本代表)らJリーグへ羽ばたいた先輩たちのプレーを間近で見られたことも矢野にとってはプラスだった。

「Jに行く選手がいるレベルの高い場所でやっていくうちに、何かプラスアルファが必要だと思った。ポストプレーで仲間にボールを渡すのがこれまでは雑だったけど、仲間がプレーしやすいように出そう、競り合いでも相手が嫌なプレーを90分続けようとか、細かい、ちょっとした部分にまで拘るようになった」。

 関大では、G大阪のストライカーとして活躍した前田雅文監督から直接指導を受ける機会も多い。恵まれたフィジカルをより大きく見せられるようになったのも大学に入ってからの成長だ。

 1、2年生での出場機会は数えるほどだったが、昨年は12試合に出場。「高校よりもできるプレーが増えた。なかなか点は獲れなかったけど、試合ごとにパフォーマンスや得点感覚が上がっていった。試合後に『今日は出来たな』と思える試合が多くなったので、毎週末が楽しみだった」と口にする。2月に行った関西学生選抜の活動やJクラブとの練習試合でも通用するプレーは多く、今年は更なる活躍を誓う。

 手応えを掴むうちにプロ入りへの想いも高まっている。DF杉岡大暉(現鹿島)、DF原輝綺(現鳥栖)、MF金子大毅(現湘南)、MF高宇洋(現山口)と高校時代の同級生は、Jリーガーが並ぶ。

「今になって思うと高校の時の自分は、意識が甘かった。僕はただプロになりたいと思っていたけど、アイツらはプロになった後を考えていた。いつも先のことを考えてトレーニングをしていた。チームメイトが活躍する度に、『自分にもチャンスがあるんだ』と励みにしていた」。

 今年に入り、同じく市立船橋から関西の大学を選んだDF真瀬拓海(阪南大4年)の仙台への加入内定が発表されたのも矢野にとって刺激となっている。今でも彼らとの繋がりは強く、正月休みなどに顔を合わせる度に同じ舞台に立ちたいと強く思うようになったという。

 今後の目標とするのは、高校時代のライバル校である流通経済大柏高(千葉)に所属していたFW呉屋大翔(柏)だ。年代こそ違うが、高校時代はサブの時期が多かったにもかかわらず、大学でブレイクし、プロの世界へ羽ばたいた呉屋と同じキャリアを矢野も描こうとしている。

「高校でなかなか試合に出られなくても、大学でしっかり力をつければプロに行けると示したい。色んな選手に可能性を感じて貰える選手になりたい」。大学での4年間は決して遠回りではない。確かな成長を示すためにも、今年はピッチで大暴れし、盟友たちに追いつくつもりだ。


※この連載は、各チーム承諾の上、「蹴活生」たちに電話取材しています。

執筆者紹介:森田将義(もりた・まさよし)
1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。ゲキサカの他、エル・ゴラッソ、サッカーダイジェストなどに寄稿している。

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蹴活生ガイド2020(関西) by 森田将義

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