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開催可否基準「エントリー可能14人」満たせず…Jリーグ&名古屋が明かした“中止決定”の背景

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Jリーグの村井満チェアマンと名古屋の小西工己代表取締役社長

 Jリーグと名古屋グランパスは26日午前、オンラインで緊急記者会見を行った。名古屋では25日までに、選手とスタッフ計3人から新型コロナウイルスの陽性反応が判明。Jリーグはこれを受けて、26日夜に広島市で予定されていたJ1第7節・広島戦の中止を決めた。6月27日の再開以降、Jリーグ公式戦が初めて中止を迫られる形となった。

 オンライン会見には、Jリーグの村井満チェアマンと名古屋の小西工己代表取締役社長が出席。異例の中止決定に至った背景が明かされた。

◆中止決定に至る経緯
 事の発端は今月24日、発熱や頭痛などの症状を訴えた名古屋所属DF宮原和也が一般のPCR検査を受けた結果、陽性反応が確認された。この際、地元保健所の調査で濃厚接触者はいないとされたが、名古屋は25日までに全選手・スタッフ約60人を対象としたPCR検査を実施。新たにMF渡邉柊斗とトップチームスタッフ1人の陽性が判明した。

 他の選手や関係者は陰性だったものの、2人と濃厚接触があった者の有無について地元保健所が調査中。新たな陽性者が判明した時点で、今節が行われる予定だった広島には選手16人とスタッフ1人がすでに到着していたが、その中に濃厚接触者がいる可能性も浮かび上がった。

 こうした状況を受け、名古屋はJリーグ側に試合開催可否について相談。26日午前8時から村井チェアマンと小西社長が協議し、NPB・Jリーグ連絡会議に参画している愛知医科大の三鴨廣繁教授の助言も受けた結果、濃厚接触者の特定が試合開始に間に合わない可能性があることから試合中止を決めた。

 村井チェアマンは「仮に移動している選手全員が陰性であるものの、濃厚接触者がいた場合、確実に安全というわけでない状態で試合を行う可能性がある」と経緯を説明。小西社長は「試合に臨める方法を最後の最後まで探ったが、濃厚接触者が特定される時間がはっきりせず、試合直前になることも予想されることから、14人の登録が難しいとJリーグと協議した」と振り返った。

◆開催可否のレギュレーション
 小西社長が述べた「14人」という数字は、Jリーグが定めている規約・規程に準じたものだ。

 Jリーグは6月下旬の理事会で、リーグ戦試合実施要項の条文に「エントリー可能な選手(※)の人数がトップチーム登録の選手14名以上(ゴールキーパー1名を含む)である場合、当該試合は予定通り開催される」という規定を追加。各クラブから数人規模の感染者が出たとしても、試合開催を前向きに進めていくという意思を明文化したものだ。

※エントリー可能な選手は以下の①〜③をいずれも満たす者
①公式検査で陰性判定を得ている
②体温が37.5度未満である
③濃厚接触の認定や入国制限地域からの入国などで、公的機関から自宅待機の指示を受けている状態でないこと

 ところが今回の名古屋のケースでは、感染者を除いた選手が14人以上いるにもかかわらず、試合中止という決断に至った。

 Jリーグ担当者によると、この規定では陽性判定を受けた者、濃厚接触者、濃厚接触者であることが見込まれる者がエントリー可能選手にあたらないことも間接的に示されている。今回の事例では「見込まれる者」というのがキーポイント。26日午前時点では保健所による濃厚接触者の特定が間に合わず、「濃厚接触が見込まれる者」が多数浮上したのだ。その結果、エントリー可能選手は14人を下回り、制度に従って中止という決定に至った。

 なお、こうした意思決定が今後も適用された場合、通常木〜金曜日に実施しているJリーグによる公式検査でも、1人の陽性者を発端に突然の中止決定が行われる可能性は大いにある。公式検査は翌水曜日に最終結果が発表されるスケジュールとなっているが、その日にミッドウィークのリーグ戦が組まれている日程は多数あり、濃厚接触者の特定を完了できないことが想定されるからだ。

 このことについて村井チェアマンは「日程によっては今回のように試合直前に協議をして開催を回避することもあるかもしれないし、濃厚接触の定義も踏まえて試合を行っていくこともあるかもしれない。日程との相談になる。専門家含めて協議することもあり得る」と説明。今回の前例に従うだけでなく、臨機応変な決定を行っていく意向を示した。

◆公式検査が網の目にならず
 なお、今回感染が判明した名古屋の3人は今月17日、Jリーグによる公式検査の検体採取も行っていたが、いずれも今月20日に陰性が判明していた。つまり3人は18日以降の1週間のうちに感染したとみられる。村井チェアマンは「クラブに大きな瑕疵があったわけではないと認識している」とした上で「厳格な行動管理をしていても、7月17日以降になにがしかのルートで感染した。本人に責任があるわけでなく、難しさを再認識した」とウイルスの脅威を見つめる。

 名古屋の小西社長も「日常生活のマスクの着用、手洗い、消毒などは徹底的にやっている」と強調。「不要不急の外出は避ける、外食はしない、自宅にゲストを招かない」「クラブハウスでは毎朝検温し、ロッカールームは開ける。週1回はミーティングで注意喚起」といったルール作りもしているといい、「感染リスクがどこにも潜んでいると実感している」と述べた。

 今後、名古屋はJリーグの次回公式検査を待たずに数回のPCR検査を独自で行っていく方針だ。8月1日に控えている次節の豊田スタジアムでのホーム柏戦に向けて、小西社長は「安全安心を確認した上で全力で臨んでいきます」と宣言した。

 また村井チェアマンは今後、公式検査のガイドラインを修正し、感染者が判明したクラブは検査の頻度を「2週間に1回」から「週に1回」に変更する方針を示唆した。その上で「選手もアスリートである前に社会市民なので、全ての社会活動を断つことは難しい」と選手の中から陽性判定が出ることは受け止め、「こうしたことが起こりうることを共有し、感染者が出た時に現場復帰させる努力をすること、プライバシーが守られること、スポーツが安定的に続けられることに注力していく必要がある」と前を見据えた。

(取材・文 竹内達也)
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