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“赤い彗星”の17本跳ね返し8強進出。昨年度準決勝・静学戦の経験生かした矢板中央の堅守

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伝統の堅守は健在(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.3 高校選手権3回戦 矢板中央0-0(PK3-1)東福岡 等々力]

 伝統の堅守で“赤い彗星”を退けた。攻撃力の高い東福岡に17本のシュートを浴びたが、矢板中央高(栃木)は統制された守備で無失点に抑えると、PK戦ではGK藤井陽登(2年)が2日連続の活躍ぶりを見せ、4年連続のベスト8進出を決めた。

 東福岡のサイド攻撃は驚異だったが、U-17日本代表のドリブラーMF青木俊輔(3年)に対峙した右SB坂本龍汰主将(3年)は縦へのスピードに対応しつつ、周囲と連動して守備。「個では勝てない部分があったので、サイドハーフやボランチをコントロールしながら組織で守った」。中央には強固な守備ブロックを構築し、ゴール前でCB新倉礼偉(3年)を中心に身体を投げ出してブロックすれば、シュートを打たれてもGK藤井が防ぎ切った。

 2日の徳島市立戦(1-1 PK6-5)は前半のうちに先制したものの、後半押し返されて失点し、PK戦の末に競り勝つ形だった。「このまま負けてしまったら矢板中央らしいサッカーができないまま引退してしまうぞ」。高橋健二監督の檄で引き締まったチームは中0日で立て直しに成功。「1日でこんなに彼らが成長するのかと指導者として驚いています。3年生がリーダーシップをとってチーム一丸になった。今日の試合は褒めてあげたい」と指揮官も目を細める戦いぶりだった。

 昨年度の準決勝・静岡学園戦の経験値を生かした。圧倒的なテクニックと攻撃力で昨年度選手権を制した静学との準決勝は、矢板中央が自陣に釘付けにされる防戦一方の展開。23本のシュートを浴びながら耐え続け、90分間を無失点に抑えた。しかし、90+4分に与えたPKで24本目を決められ、惜しくも敗退。一年前の教訓を生かし、東福岡にシュート17本を打たれながらも無失点に抑え切った。

 静学戦で右SBを担っていた坂本は「試合中に去年と似ていると感じていて、去年の経験を生かして新倉と声掛けをした。一年間やってきたことがここに生かされて良かった」と手応え。高橋監督も「静学戦の経験者は残っているので、ピッチの中で去年の思いが生きたんじゃないかな」と語っていた。

 昨年度も勝ち上がるにつれて堅守を研ぎ澄ませた矢板中央。昨年度3得点を挙げたエースFW多田圭佑(3年)がまだ無得点だが、後半14分に決定的なシュートを打つなど得点の匂いを漂わせている。島崎の超絶ロングスローから、新倉やDF小出勇翔(2年)が狙うヘディングも強烈。昨年度に並ぶ4強入りを懸けた準々決勝・富山一戦に向けて、チームは上向いている。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2020

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