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[プレミアリーグEAST]指揮官交代の横浜FCユース。FC東京U-18との“リスタート”は2-2のドロー決着

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横浜FCユースのFW原大貴(9番)は2ゴールの活躍

[4.11 プレミアリーグEAST第2節 横浜FCユース 2-2 FC東京U-18 小机]

 前半はホームチーム。後半はアウェイチーム。小机のデーゲームは、はっきりと主導権の分かれる展開に。11日、高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグEAST第2節では横浜FCユース(神奈川)とFC東京U-18(東京)が対戦。ハーフタイムを挟んで大きく展開の変わった90分間は、2-2のドロー決着となった。

 横浜FCユースに激震が走ったのは、先週の木曜日。プレミア開幕節でも指揮を執っていた早川知伸監督が、トップチームの監督へ就任。クラブのヘッドオブコーチングを務めていた重田征紀が、6年ぶりにユースの監督へ復帰することになる。「『人生、こんなことがあるんだな』と思いながら、ゆっくり何かを考える時間はあまりなかったので、そのまま試合が来たなという印象ですね」とその重田監督が正直に明かした通り、やや混乱の中で彼らは第2節を迎えていた。

 そんなゲームは、序盤から一方的に横浜FCユースがボールを握る。キャプテンのDF増田健昇(3年)とU-17日本代表候補DF池谷銀姿郎(2年)のセンターバックに、GKの西方優太郎(1年)を加えた3人を軸にしながら、丁寧に最後尾でパスを走らせつつ、縦へのスイッチを探る展開が続く。

 FC東京U-18は前半4分に、左サイドからカットインしたMF俵積田晃太(2年)がフィニッシュまで持ち込み、DFに当たったボールは西方にキャッチされたが、これが前半唯一のシュート。「チーム全体としてもビビっていたというか、怖気付いていたところがあった」とはMF谷村峻(3年)。なかなかボールも奪えず、後手に回る。

 すると、主役に躍り出たのは9番のストライカー。37分。右SB本木紀慶(3年)が上げた鋭いクロスを、FC東京U-18のGK彼島優(3年)が弾いた所に、飛び込んだのはFW原大貴(3年)。「最初にニアに入りたかったんですけど、(清水)悠斗がニアに入っていたので、自分は中で待っていたら、こぼれてきたのが結果的に良かったです」と語った“嗅覚”の勝利。横浜FCユースが先制する。

 42分の歓喜も“嗅覚”の為せる業。左サイドで横浜FCユースが獲得したFK。精度の高いキックを左SB土屋海人(3年)が蹴り込むと、ファーからの折り返しに増田が競り勝ったボールは、9番の足元へ。「考えてポジションを取るようにしているので、その結果がゴールに繋がったのかなと思いますし、増田を信じたおかげです」と笑った原の連続ゴール。2-0。最初の45分間は完全にホームチームの時間だったと言っていいだろう。

「ベンチの椅子に座って、一番最初にチュウさん(中村忠監督)から『ビビってんじゃねえ』って言われました。でも、チームというかディフェンスラインがちょっと臆病になっていた所はあったので、言われて当然だと思います」と明かしたのは右SBの中野創介(3年)。不甲斐ない戦いぶりに、指揮官から猛烈な雷が落とされた。やるしかない。腹を括った青赤が、ようやく目を覚ます。

 後半4分には左SB大迫蒼人(3年)の完璧なFKに、DF石井玲於奈(3年)がドンピシャヘッド。ここはオフサイドの判定が下ったものの、いきなりゴールへの意欲をセンターバックが打ち出すと、1分後には「前半が終わった後、これは『後半の最初の内に点を獲らないと、絶対に勝てないな』と思った」という谷村がエリア内で仕掛けてPKをゲット。これを自ら沈め、FC東京U-18が1点差に詰め寄った。

「後半にガラッと変わったのは、ハーフタイムの間に監督から喝を入れられたというのもありますけど、自分たちも試合中に考えながらポジショニングを取ったりしていました」と口にしたのは谷村。確かに石井とCB森田翔(3年)がビルドアップしている間に、ドイスボランチのMF加藤大地(3年)と谷村の引き出し方も大きく改善。ここを経由することで、前へとボールをスムーズに運んでいく。

「前半は良い形で選手たちが取り組んでくれていましたし、『後半は足が止まってもいいから、前半は飛ばしていこう』と。その中で後半は正直しんどかったと思う」(重田監督)。押し込まれる流れの中、横浜FCユースも28分にはMF山崎太新(3年)が得意のドリブルシュートを放つも、軌道は枠の上へ。次々と交代カードを切りながら、何とか逃げ切りを図る。

 終盤の39分。意外な伏兵が大仕事。FW生地慶多(2年)の落としを受けた谷村は、「今日の試合の創介は、正直周りから見るとそれまであまり良くなかった」と考えながらも、信じて右へラストパス。駆け上がってきた中野が「もう『入れ!』って感じで」思い切り叩いたシュートは、豪快にゴールネットへ到達する。チーム屈指のムードメーカーが披露した意地の一発。右サイドバックの同点弾で、試合は2-2のドロー決着。双方に勝ち点1が分け与えられた。

「いやあ、悔しいです」と開口一番、正直な想いを滲ませた重田監督。この試合は難しい状況での一戦となったが、現役時代を含めれば横浜FC在籍23年目となる、クラブの歴史を体現するような男がこの緊急事態に登板したことは、ユースの選手にとっても、より自身のサッカーに対する幅を広げるチャンスになるかもしれない。

「やっぱり挑戦していかないとチーム自体が停滞してしまうし、進化していけないと思っているので、そういう意味では選手たちは凄く前向きにやってくれたかなと思っていますし、だからこそ最後にあそこで勝ち切れる、もう1点奪える力を付けていかないといけないなと感じました」。柔和な笑顔に隠された滾るような情熱は、重田監督の大きな魅力だ。

いきなりの指揮官交代を経験し、第2節からリスタートとなった横浜FCユースのプレミア初航海は、早くも荒波にもまれつつも、新たな希望をその視界に捉えつつある。

(取材・文 土屋雅史)
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