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マルキーニョス2発もドロー、公式戦5試合勝利なしの鹿島にサポーターはブーイング

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[4・30 J1第9節 鹿島2-2神戸 カシマ]

 勝てば首位に返り咲く鹿島アントラーズは30日、ホームでヴィッセル神戸と対戦。鹿島は負傷明けのFWマルキーニョスが2得点を決めたが、2-2の引き分けに終わり、またしても首位奪回を逃した。

 鹿島は、負傷離脱していたFWマルキーニョスが4月19日のG大阪戦以来、公式戦3試合ぶりに復帰し、田代有三と2トップを組んだ。4-4-2の中盤は青木剛と小笠原満男のダブルボランチに、左サイドが本山雅志、右サイドが野沢拓也とベストメンバー。DFラインは内田篤人と新井場徹が負傷欠場し、右から伊野波雅彦、岩政大樹、大岩剛、石神直哉と並んだ。
 神戸は27日のG大阪戦で負傷したDF北本久仁衛が欠場。代役は今季リーグ戦初先発となった小林久晃で、4-4-2の4バックは右から石櫃洋祐、小林、柳川雅樹、鈴木規郎と並んだ。MF金南一が出場停止のため、ボランチは松岡亮輔とボッティのコンビで、右に栗原圭介、左に古賀誠史。2トップは馬場賢治と大久保嘉人が組んだ。

 試合は個々の技術が高い鹿島が優勢に進めた。中盤の4人が流動的に動いてポジションを変えながらパスをつなぎ、アタッキングエリアに攻め込む。しかし、神戸も4-4-2がきれいな3ラインをコンパクトに保ってスペースを与えない。鹿島がボールを支配していたが、なかなかシュートまで持ち込めなかった。
 特に負傷明けのマルキーニョスにいつものキレがなく、ボールがおさまらない。全体的にラストパスの精度も低く、決定機をつくれなかった。
 逆に神戸が2回連続で決定的なチャンスをつかむ。前半22分、マルキーニョスからボールを奪って速攻を仕掛けると、馬場のスルーパスに大久保が抜け出し左足でシュートを狙ったが、おしくも右ポストを直撃。26分にも中盤で小笠原からボールを奪って2対2の局面を迎えたが、ドリブルでDFをかわしてGKと1対1となった古賀のシュートはGK曽ヶ端に阻まれ、絶好の先制のチャンスを逃した。
 ピンチをしのいだ鹿島は、ここからさらに攻勢を強める。前半27分に野沢の右CKにマルキーニョスが頭で合わせるもGK榎本が右手1本でCKに逃れる。前半41分にはPA内の混戦からDFのクリアミスをマルキーニョスが拾って狙ったが、シュートはミートせず、ゴール左にそれた。
 前半ロスタイムに野沢のミドルシュートが右ポストをかすめる決定機もあったが、両チームともに決め手を欠いて前半は0-0で終了。鹿島とすれば、ボール支配率で圧倒した割には決定機が少ない45分間だった。

 後半も、前半と同じ展開となった。鹿島がボールを回すが、肝心のゴール前で神戸の組織的な守備を崩せず、逆に神戸がカウンターからチャンスを伺う。鹿島が神戸の守備を打開するのが先か、神戸がカウンターをものにするのが先か。一進一退の緊迫した攻防が続いた。
 そして後半20分、鹿島がついに均衡を破る。セカンドボールを拾って波状攻撃を仕掛け、細かいパス交換から最後は右サイドでフリーになった野沢が左足でゴール前に折り返し、ファーサイドから走り込んだマルキーニョスが頭でゴール右隅に叩き込んだ。ここまで決して動き自体はよくなかったマルキーニョスだったが、大事な場面でしっかりと結果を出した。
 しかし、その5分後、神戸が同点に追いつく。後半25分、FWの馬場を下げてMF田中英雄をピッチに入れた直後だった。選手交代後のリスタートで自陣からGK榎本がロングボールを蹴った瞬間、それまで馬場がいた前線のスペースに右サイドの吉田孝行が駆け上がる。GKのキックを大久保が頭で前方に流すと、交代直後で曖昧になっていた鹿島のマークの隙を突いて飛びこんできた吉田がDFを振り切って右足ダイレクトでゴールに流し込んだ。
 同点に追いつかれた鹿島はダニーロ、興梠慎三を入れて勝ち越しを狙うが、全体的に運動量が少なく、細かいパスミスも目立つ。逆に決定的なチャンスが多かったのは神戸。後半38分に古賀の左クロスに大久保がダイレクトで狙ったが、ゴール右へ。41分には大久保のパスをPA内で受けた田中がフリーで左足で狙ったが、GKに阻まれる絶好機もあった。
 そして後半42分、神戸が高い位置でボールを奪い、大久保が飛び出してきたGKをチップキックでかわし、無人のゴールに蹴り込んで神戸が逆転に成功。ところが、その1分後に鹿島もマルキーニョスがPA内でDFを振り切って右足でゴールに叩き込む。
 試合終盤に激しい点の取り合いとなった試合は2-2の痛み分け。鹿島はこれで公式戦5試合連続で勝利なしとなり、試合後はサポーターからブーイングも飛んだ。

(取材・文 西山紘平)

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