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EURO2008 クロアチアvs.トルコ 試合総括

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[6・20 EURO2008準々決勝]

 オーストリア・スイス共催のEURO2008は20日、準々決勝のクロアチア-トルコ戦が行われ、トルコがPK戦の末、勝利を収め初の準決勝進出を果たした。
 敗れたクロアチアは無敗で大会を後にすることになった。

 3戦全勝でB組を首位通過したクロアチアは、GL2戦目でドイツに快勝した4-4-1-1の布陣。第3戦で休ませた主力を戻し、GKはスティペ・プレティコサ。DFラインは右からベルダン・チョルルカ、ロベルト・コバチ、ヨシプ・シムニッチ、そして4試合連続の先発となるダニエル・プラニッチが並ぶ。中盤には3試合連続出場のイバン・ラキティッチに加え、ニコ・コバチ、ルカ・モドリッチ。右サイドにダリヨ・スルナが配され、1.5列目にニコ・クラニチャル、トップにイビツァ・オリッチとなっている。

 一方のトルコは4-1-4-1の変則的なシステム。2試合の出場停止処分を受けたボルカン・デミレルに代わり、GKにはリュシュトゥ・レチベルが今大会初先発。センターバックには負傷のセルベト・チュティンとエムレ・ギュンゴルに代わり、ギョクハン・ザンとエムレ・アシクが入った。右MFには途中出場のチェコ戦で活躍したサブリ・サリュオールが入り、ボランチのメフメト・アウレリオは出場停止となっている。また、カズム・カズムが右ウィングの位置で初戦以来の先発出場を果たし、それ以外は第3戦と同じメンバーになっている。
 なお、トルコはリュシュトゥ、右サイドバックのハミト・アルティントップ、トップのニハト・カフベジを除いて、先発の8人が警告を受けているという異常な状況となっている。
メンバー表はこちら

 試合は序盤、両チームとも蒸し暑さのせいか静かな立ち上がりとなった。そんな中、最初の決定的なチャンスがクロアチアに訪れる。
 前半19分、右サイドを抜け出したモドリッチがゴール前にグラウンダーのパスを送る。抜けてきたボールをオリッチがフリーでシュートするが、ボールは惜しくもクロスバーを直撃した。

 後半に入っても両チームの膠着状態は依然続く。双方得点を目指し、クロアチアは後半20分にクラニチャルに代えてFWムラデン・ペトリッチを、トルコはその10分後にメフメト・トパルに代えてセミフ・シュンテュルクを投入し、それぞれ2トップに移行した。
 試合は完全なクロアチアペースのまま進む。後半39分にはスルナが直接FKから得点を狙ったが、これはトルコGKリュシュトゥの好セーブに阻まれた。
 一方のトルコは押されっぱなし。特に後半はシュートらしいシュートを1本も放てずに守備に奔走している。

 試合は90分間でも決着が付かず延長へ。延長前半7分にはクロアチアがFWイバン・クラスニッチを投入するが、ペースはトルコへと流れる。
 同10分にセミフが、同12分にはトゥンジャイ・サンリが立て続けにシュートを放つが、惜しくも枠を外れた。

 そして延長後半、トルコにとっては比較的月並みな、そのほかのものにとっては驚愕の結末を迎える。
 試合終了1分前、クロアチアのスルナが右サイドを突破し、トルコDFと交錯。ペナルティエリア右側にこぼれたボールをGKリュシュトゥが捕球に行くが、先にモドリッチが追い付きゴール前にクロス。そこに待ち構えていた途中出場のクラスニッチが慌てて戻ってくるリュシュトゥを尻目にヘッドでローサイドに決め、土壇場で得点を奪った。
 ところが、クロアチアが勝利を確信して迎えた延長後半ロスタイム。リュシュトゥが自陣のFKからゴール前に放り込んだボールはペナルティエリアの混戦からこぼれる。それに一早く反応したセミフが左足を振り抜き、まさかの同点ゴールを叩き込んだ。

 PK戦では追いついたトルコと追いつかれたクロアチアの勢いにはっきりとした差が出る。
 クロアチアはモドリッチとラキティッチが枠を外したのに対し、トルコはアルダ・トゥラン、セミフ、アルティントップの3人が確実に決める。最後はペトリッチがGKリュシュトゥに阻まれ、決着が付いた。

 またしても「奇跡」といえる逆転勝利を収めたトルコはEUROでは初の、主要国際大会では02年W杯以来の準決勝進出を決めた。
 しかし、スイス・バーゼルで行われる準決勝のドイツ戦では累積警告と出場停止でGKボルカン、DFエムレ・アシク、MFトゥンジャイ、アルダの主力が使えず、DFセルベトとエムレ・ギュンゴルも負傷中。また、この試合で足を痛めて試合終了3分前に退いたニハトも怪我の状態が心配されるなど、まさに満身創痍の状態となっている。

 一方、まさかの敗戦を喫したクロアチアは立ち直るのに時間が掛かるだろう。EURO初の、国際大会では98年W杯以来の準決勝進出を阻まれるにはあまりにも痛みを伴う敗戦だった。現在はチェコだけがその痛みを汲めるかもしれないが・・・。

<写真説明>120分の死闘後のPK戦。3-1で勝利し、疾走するトルコの選手たち
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EURO2008特設ページ
(文 宝田雅樹)

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