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[五輪]最後までバラバラだった反町ジャパン

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 北京五輪3戦全敗、勝ち点0という最悪の結果で帰国した反町ジャパン。チームは最後までバラバラだった。反町康治監督と選手の口から出る言葉はまったくの真逆で、その意識、考え方の相容れなさが全敗という結果につながった。
 「2年前から始めて、ここまでやってきたことにはまったく悔いは残っていない」。反町監督は最後までそう繰り返した。「勝ち点という土産はないが、目に見えないたくさんの課題を土産として持ってこれたかな」と強気に言ったが、その言葉も空虚に響いた。
 選手には「自分の責任」と謝罪した指揮官。それでも、「やってきたことは間違ってない」「悔いはない」「力は出し切った」という言葉を覆すことはなかった。
 だが、選手との温度差は明らかだった。DF内田篤人(鹿島)は「世界に対して結果はもちろん、実力も出せないレベルにある」と厳しい口調で話した。FW森本貴幸(カターニア)は「全部力を出し切れず、非常に悔いが残った」と声を絞り出し、DF長友佑都(F東京)は「国民、ファンの期待に応えられない残念な結果になった。こんなに悔しい思いをしたのは初めて」とうなだれた。DF安田理大(G大阪)も「悔いは残りまくりです。ポイント1でもいいから勝ち点が欲しかった」と悔しさを隠せず、MF谷口博之(川崎F)は「力のなさを感じた」とうなだれていた。
 選手がこれだけ悔しい思いを味わいながら、指揮官は悔いがないと繰り返す。「自分たちの力は出し切ったと思っている。現地で試合を見た人は分かってくれると思う」と言い放ち、「采配で後悔はないか?」という質問にも「十人十色、いろいろあるから。でもそれは俺は思っていない。もちろん十人十色いろいろあるだろうけど、一番現場のことを分かっているのはオレだから。(報道陣は)いろいろ言うけど、あいつが試合前日に腹が痛いとか知らないでしょ。遅刻したとか、チームの中でいろいろある。痛み止めをのんでいるやつもいる」と詭弁と言い訳に終始した。
 「情熱と誇りということをずっと言ってきた。情熱があるかどうかがポイントだった。要は負け方の問題」という言葉には、負けることが前提にして戦っていたのかという疑問まで覚えた。何のためにこの2年間、大事な若い世代を反町監督に任せてきたのか。あまりにもプロフェッショナルな監督とは程遠い結末だった。

(取材・文 西山紘平)

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