[11.15 天皇杯5回戦 鹿島3-4(延長)清水 カシマ]

　鹿島アントラーズの連覇の夢は5回戦で断たれた。準々決勝進出を逃したのは9大会ぶり。首位に立つリーグ戦でも最近1分1敗と波に乗れない王者が、あっけなく散った。前半17分に先制されながら、DF増田誓志、FWマルキーニョスのゴールで逆転。その後も試合を決めるチャンスは再三あった。シュート数は20対13。しかしMF野沢拓也は決定機に枠を捉えきれず、GK西部洋平の好守にも阻まれた。日本代表DF内田篤人に代わって右サイドバックで先発した増田は「90分で勝てる試合だったと思う。しっかり勝たないといけないゲーム」と唇をかみしめた。MF本山雅志は「途中から間延びして、蹴るばっかになった。それまではポゼッションできていたし、最近の中ではよかったけど、ボールを蹴り出してからは最悪」と指摘した。遅攻と速攻を使い分けるべきだったが、攻撃は1本調子となり、行ったり来たりの展開で鹿島らしいパスサッカーが影を潜めた。

　優勝争いの続くリーグ戦は残り3節。天皇杯だけでなく、Jリーグ連覇にも黄信号が灯るが、DF岩政大樹は「修正点はいくつもあるけど、残り3試合だし、ネガティブなことを言ってもしようがない。今ある力を出し切ること。メンタルもコンディションも。それだけです」と強調した。「結果だけを求める。修正点はキャンプに持ち込みたい」。なりふり構わず勝ちに行く。王者がプライドを捨て、リーグ戦に全精力を傾ける。

(取材・文　西山紘平)