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[W杯予選] 豪州で人気のスポーツは?

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 2月11日、日本代表はアジア地区最大のライバル・オーストラリア(以下、豪州)とW杯アジア最終予選を戦う。日産スタジアムで行われるこの一戦は、今回の最終予選の大一番。
 そこでゲキサカでは、このゲームに向けて、豪州の紹介記事をお送り致します。アジア最終予選を通じて、アジア諸国の認識を深め、サッカーをもっと楽しもう!!

[豪州で人気のスポーツは?]
 豪州で最も人気のスポーツは、残念ながらサッカーではない。圧倒的な人気を誇るのは、夏場のクリケットと冬の3つのフットボールだ。3つのフットボールとは、「オーストラリアン・ルールズ・フットボール(豪州特有のルール/18人制)」、「ラグビーリーグ(13人制でラグビーの一種)」、そして「ラグビーユニオン(15人制のラグビー)」だ。日本でいうところのラグビーが「ラグビーユニオン」で、豪州代表の通称・ワラビーズはこれまでのW杯全てに出場し、2大会を制している世界屈指の強豪である。

 一方、地元の人々に第4のフットボールと言われてきたサッカーは、05-06シーズンから「Aリーグ(全8チーム)」がスタート(今季からは10チームに拡大)。サッカーはラグビー人気の陰に長らく隠れてきたが、近年ではW杯ドイツ大会での躍進(ベスト16)などの影響もあり、サッカー人気が増加傾向にある。
 そこで今回、豪州で日本人初のプロ選手として活躍した今矢直城氏(28)に話を聞いた。今矢氏は、親の仕事の関係で10歳のときに渡豪し、サッカーでプロを目指した。13歳の時に所属していたマンリーというユースチームでは、現・豪州代表キャプテンのDFルーカス・ニール(30/英プレミア・ウェストハム)とチームメイトだった。00年、19歳の時にブラックタウン・シティー(ナショナルリーグ)とプロ契約し、MFとしてリーグ優勝に貢献、MVPに輝いた。その後も2度のリーグ優勝を果たし、03年にはスイス1部のヌーテシャル・ザマックスと契約。スイスリーグ日本人第1号選手となり、UEFA杯にも出場。その後も、豪州やドイツでプロ選手として活躍したが、現在は日本でサッカースクールを運営しており、7日のピム・ファーベーク豪州代表監督の会見では通訳を務めた。豪州サッカーを長年見てきた今矢氏は言う。「スポーツに関してオーストラリア人は非常に情熱的だが、Aリーグはまだまだ過渡期」。
 豪州では、日本のように代表戦を毎試合、生中継するようなことはないという。「日本でいう地上波では代表戦でもあまり放送されないが、最近では『FOX』というペイパービューの放送局が精力的にAリーグ全試合を中継している。また、『SBS』という国営放送でも、週末に世界中のサッカーを放送するようになった。これは、やはりW杯ドイツ大会の影響が大きい。代表のあの活躍があったからこそ、サッカーに余り興味のない一般のオーストラリア人でも『これが世界で一番ポピュラーなスポーツか』と認識した。あの時、国内はお祭り騒ぎだったし、あれがなければ、Aリーグの人気も上がらなかった」。
 最近では、少しずつだがサッカー人気が高まっている。現地在住の知人の話では、ある新聞記事で「将来なりたいスポーツ選手は何か」と若者対象にアンケートとったら、「サッカー」と応える小学生が最も多かったという。これは近年、多くの代表選手たちがヨーロッパのリーグで活躍していることも、当然関係しているだろう。
 豪州は06年、長らく所属してきた「オセアニアサッカー連盟(OFC)」を脱退し、「アジアフットボール連盟(AFC)」へ加盟。W杯の舞台で活躍するべく、今回の南アW杯予選から「アジア地区の一員」として死闘を繰り広げている。現在は日本と同じグループで1位につけ、このまま進めばW杯出場は確実視されている。今日では世界の強豪として名を連ねるようになった豪州だが、これまで実力のわりにはW杯出場すらもおぼつかない、長い長い「不遇の時代」を過ごしてきた。

<写真>ドイツW杯でベスト16入りを果たした豪州のサポーターたち

(文 山口雄人)

次回は、「オージーサッカー不遇の時代」をお届けします。

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