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鹿島・伊野波「ゴールより0点に抑えたことがうれしい」

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[8.15 J1第21節 鹿島1-0大分 カシマ]

 鹿島アントラーズがリーグ戦4試合ぶり、ナビスコ杯を含めて公式戦5試合ぶりの勝利をつかんだ。

 立役者はDF伊野波雅彦だった。前半32分、ペナルティーエリア右外からのMF野沢拓也の速いFKをヘディングで決めた。実は08年にFC東京から鹿島に移籍後、初ゴール。「なかなか勝てなくて流れが悪かった。ここで勝ててうれしい。(野沢)拓さんからいいボールが入った。あまり点を取るイメージはないかもしれないけど、これからも取りたい」と笑みを浮かべた。

 ただ、「点を取ったことよりも、0点で抑えられたことがうれしい。0点に抑えられたことを評価してもらいたい」とも言った。

 DFの伊野波にとっては苦しい日々だった。7月15日のナビスコ杯・川崎F戦の勝利を最後に、公式戦4試合に2分け2敗。負けた原因は、リーグ最少失点の自慢の守備網が破綻したことだった。7月18日の清水戦は2-2ドロー、同25日の柏戦は1-1ドロー、同29日のナビスコ杯・川崎F戦は0-3敗戦、8月1日の広島戦は0-1敗戦と、4試合で7失点・・・。悔しさい気持ちでいっぱいだった。

 この日は、大分は運動量豊富に動き回り、細かいパスをつないでと、これまでとは違うやり方で攻めてきた。しかし、まったく動じなかった。FW、MFとしっかりと連動して守り、最後のラインは突破させなかった。“御家芸”が復活しての完封勝ちは、1勝以上の重みがあるといえるかもしれない。

 オズワルド・オリヴェイラ監督は「選手が高い意識を持ってやってくれた。(チャンスを作りながら)1点しか取れなかったが、きょうは勝ち点3を取るという使命を選手に与え、目的を果たしてくれた。よかったと思う」と、堅守がよみがり“王者の試合運び”ができたことを喜んだ。

 「勝ち点差が開いていても気の緩み、慢心にはつながらない。自分たちのサッカーに集中する。状況に応じた戦い方をする」と指揮官の表情にも自信がみなぎっていた。このまま堅守が復活すれば、鹿島にはますます死角がなくなるだろう。

(文 近藤安弘)

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