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俊輔が帰国し入団会見。背番号25を披露し「この悔しさを生かさないと意味がない」

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 エスパニョールから横浜F・マリノスへの復帰が決まった日本代表MF中村俊輔が28日に帰国し、新本拠地となる日産スタジアムで入団会見を行った。テレビカメラ17台、報道陣114名が集まり、無数のフラッシュ、スポットライトの中、俊輔は「マリノスで優勝したい」と新たな決意を明かした。
 会見後は、サポーターにもお披露目。急きょの呼びかけだったにもかかわらず、スタジアムには3166人が集まった。俊輔は新人時代にも背負った背番号「25」に身を包み、ピッチからサポーターに挨拶。「俊輔コール」に、旗などがはためく中、スタンドにボールを蹴り込んでプレゼントするなどし、約8年ぶりに古巣へ帰ってきたことを体全体で実感していた。
俊輔がマリノス、スペイン最後の夜などを激白
以下、会見での一問一答
●MF中村俊輔
「ここまでいろいろ難しいこともあったけど、無事にマリノスに戻ってこれてうれしく思っています。良いプレーをして、自分の経験を生かしてマリノスを強く、チームが大きくなれるように貢献していきたい」
―8年ぶりのJ復帰。その決め手と、マリノスへの思いは?
「1年半くらい前から日本に戻ることを考えていて、そのクラブはマリノスしか考えていなかった。きょうこうやって戻ってこれた。うれしく思っている。同時に、帰りの飛行機の中では、結局、向こうで結果を残せなかったので、悔しい思いを感じた。この悔しさを次に生かさないと意味がないと思う。また新しい挑戦だと思ってやりたい」
―J復帰を決めた理由は?
「こういうタイミングで移籍するのは難しいと思っているけど、ひとつはW杯が近づいてきてるというのと、やっぱり、プレーできる環境でやりたいというのがあった。前からマリノスでやりたいというのがあった」
―スペイン挑戦の結果はどう考えている? 失敗だった?
「もちろん、W杯前に行くというのは危険で、もしかしたら試合に出れないということは把握して、理解して行っていた。けど、そういう高い壁に当たらないと僕は伸びないタイプなので。こうやって戻ってきたけど、全く悔いはないし、また高いレベルが見えたので、次にそれを生かせば自分は伸びていくことができる。02年のW杯に落ちた時もそうだし、レッジーナで試合に出られない時も、それをバネにした。だから、失敗だとは思っていない」
―スペインでの経験を生かしたいことは?
「プレーの質とか単純にフィジカルとか、そういうのはもちろんだけど、そういうところ以外のことを伝えていきたい。日本だと、一緒に焼肉を食べに行ったりだとかあるけど、そういうのとかだけではなく、(チームメートに)アルゼンチン人が多かったけど、普段から明るくて、家族同士でご飯を食べたり、(チーム)バスの中では音楽をかけてお祭りみたいにしていたし、試合に負けた時はケンカしあったりしていた。そういうところとか、いろんなことを伝えたい」
―欧州から帰国した選手が、日本で活躍できないケースもある。これからJリーグや代表で活躍するために、何が必要だと思う?
「やっぱりメンタルですね。半年前に戻ろうとした時も考えていたけど、日本から海外に出るときより、日本に戻ったときの方が難しい。日本人が持ってるポテンシャルは、海外でやると、結構、驚かれる。逆に日本に帰ってくると、やって当たり前と見られる。そのプレッシャーにどう勝つか。そこは個人だけでうまくいかないところもあると思うので、チームメートの力を借りたり、逆に生かしてあげたりしながらやっていきたい」
―今後、マリノスでの目標は? またJリーグの印象は? 
「あまり先のことは、まだ考えられない。早くチームに溶け込むために何をするか。Jリーグ全体のDVDは前から観てたので、誰がどういうプレーをするかはだいたい把握してます。印象は、Jリーグは速いので、それに慣れるのが重要。W杯まで時間もないので、練習からアピールしていきたい。難しい挑戦だと思うけど、頑張るしかない」
―木村監督と話はしたか? また監督の印象はどうか?
「これ(クラブのスーツ)に着替える時にロッカールームで会って、少し話をさせていただきました。今のチームの状況とか、そういうのを聞きました。あとはやっぱり、ジーコ監督もだし、(セルティック時代の)ストラカン監督とか、アルディレス監督もそうだったけど、いい選手、偉大な選手だった人は、ミーティングとかで、(独特の)感覚でしゃべるところがあるので、そういうのを聞き逃さないように、感覚で聞いて。自分にきっと吸収できるものがあるはずなので、これから楽しみです」
―スペインに移籍したとき、スペインでプレーするのは夢だと言っていた。今後、新たな夢は何?
「うーん、変わらないです。(ただ今は)やっぱりマリノスの優勝。強くしたい気持ちです」
 俊輔は「夢は変わらない」と発言したが、これはもう一度、スペインに挑戦しようと強く考えているわけではなく、選手として常に上を目指しているという意味だと説明した。攻撃的な選手である以上、最高峰のスペインでプレーしたいという夢を持ち続けるのは、当然といえるだろう。ただ今はマリノスに骨を埋める覚悟だと明言している。
 今後は、3月3日の日本代表のアジア杯予選・バーレーン戦(豊田ス)メンバーに招集されており、すぐに代表に合流する。3月4日か5日にマリノスに合流し、トレーニングを開始する予定。復帰戦は移籍手続きの関係上、13日の湘南戦(日産ス)になることが濃厚だ。俊輔は、率先してファンサービスなどを行って、サッカー界に恩返ししたい気持ちも明かしたが、『マリノス・俊輔』がJを、いや低迷する日本サッカー界全体を元気にする。
<写真>日産スタジムで、サポーターの前で木村監督と握手する俊輔
(取材・文 近藤安弘)

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