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合宿初日から"本田システム"をテスト、「一発を求められているのは分かっている」

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 日本代表は1日、3日のアジア杯予選・バーレーン戦に向け、愛知県内に集合し、MF長谷部誠(ボルフスブルク)を除く19人が約1時間の練習を行った。長谷部は同日夜に帰国。2日の練習から合流する。

 合宿初日。岡田武史監督がさっそく“本田システム”の導入に取りかかった。守備の戦術練習でポジションごとに各選手にビブスが配られる中、MF本田圭佑(CSKAモスクワ)に手渡されたのはFW組を示す水色のビブスだった。

 水色のビブスを付けたのは本田、FW岡崎慎司、FW平山相太、FW森本貴幸の4人。本田は岡崎と縦関係の2トップを組み、連動したプレッシャーのかけ方を確認していた。

 よりゴールに近いトップ下。岡田監督はその意図について「彼の良さのひとつは得点力だし、体の強さ、ゴール前に入る動きもある。他の選手との兼ね合いも考えて、真ん中の方が生きるかなと思った」と説明した。

 “俊輔の控え”からの脱却だ。これまでMF中村俊輔(横浜FM)と右MFのポジションを争ってきた本田に、本人が最も希望するポジションが与えられた。

 「どれだけ危機感を持って試合に臨めるか。一切の言い訳は許されない。ここで使ってもらったとして、点が取れなかったり、結果を残せないようじゃダメ」。本田は目をぎらつかせながら強い決意を口にした。

 W杯イヤーを迎え、リスクをかえりみずVVV(オランダ)からCSKAモスクワ(ロシア)への移籍を決断した。「移籍してから常に危機感を持って2ヵ月を過ごしている。こういう気持ちで2ヵ月間、練習したのは生まれて初めて。ギリギリのところでリスクはあるけど、ケガをせず、今までにないスピードで成長しているのを実感できている。自分がレベルアップしていることを実感できる喜びがある。自分をさらに追い込んでいきたい」。本田の熱弁は止まらなかった。

 「監督は得点力を期待しているが?」と聞かれると、「自分がどれだけ変わったかは分からない。ただ、少しだけそういう方向に向かっているんじゃないかなと自覚はしている。すべてが1ヵ月で変わる世界じゃない。これからも継続してやる。まだまだです」と話した。自信は深めているが、満足はしていない。貪欲にサッカーに取り組み、今はまだ成長途上にある。

 東アジア選手権で過去最低の3位に終わり、岡田監督の解任騒動も勃発した。閉塞感の漂うチームを救えるのか。本田にかかる期待も高まっている。

 「俺は救世主じゃない。ただ、一発を求められているのは分かっている。だからあさってもゴールを意識してやる。後ろに下がって受けることはない。プレッシャーがきついところで何本打てるか。前に前に行けるサッカーをしたい」

 本田という強烈な個性を今度こそ岡田ジャパンは受け止めることができるのか。“本田システム”が吉と出るか、凶と出るかは分からない。しかし、これがうまくいかなければ、日本に未来はない。

<写真>ランニングでは先頭を走ったMF本田圭佑。早くもチームを引っ張っていた?

(取材・文 西山紘平)

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