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6戦ぶり勝利に導いた大黒「ゴールデンウィークをゴールデンウィークにしたい(笑)」

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[4.29 J2第9節 横浜FC2-1大分 ニッパ球]

 エースが窮地を救った。横浜FCのFW大黒将志が貴重な勝ち越しゴールを決め、6試合ぶりの白星に導いた。

 1-1で迎えた前半34分。MF寺田紳一の縦パスに反応し一気にトップスピードに乗ると、DFラインを切り裂き左足を一閃。大黒らしい形でゴールネットを揺らした。4試合ぶりのゴールは大きな意味を持つ決勝弾になった。

 「シン(寺田)からいいボールが来て、GKの位置が緩かったから、ループを狙おうと思ったけど、確実に右へ蹴った。まあ、シンのパスももうちょい速く出してくれたらよかったけどね。おれ、だいぶまってた(笑)。とにかくみんな勝ちたいという気持ちが強かった。勝てて、ホンマによかった」

 エースの笑顔がはじけた。スルーパスに関しては、G大阪時代の後輩ということもあり、少し厳しめに振り返ったが、表情は安堵していた。選手も、サポーターも勝利に飢えていた。大黒は試合後、拡声器を持ってゴール裏サポーター前で挨拶し、喜びを分かち合った。「サポーターに恩返ししたかった」と繰り返した。

 チームは開幕から3連勝も、そこからまさかの5連敗。大黒自身もコンディションはよく、J2でプレーさせるにはもったいない動きを見せていたが、18日の熊本戦でPKを外すなど、エースとして責任を痛感していた。

 この日は“発想の転換”をした。今までより、ゴールに専念した。これまでは、チームを助けようと中盤に下がったり、中央でポストプレーをしたりと“ゲームを作る”ことにも加わろうとしていたが、「ゲームを作ることをやめた。ゴールすることだけに集中した。そうしないとチームが勝てないと分かった」と大黒。この日は怪我で出遅れていたFW西田剛が初先発。ポストプレーができる選手が入ったことで、自身は持ち味の飛び出しなどゴール前の動きに専念できたという。

 「みんなで話し合った。お互いをもっとサポートし合おうとか、球際にもっと激しく行こうとか、そういうことを話した」

 この試合に向け、選手同士でミーティングを行い、意見をぶつけ合った。岸野監督には戦術の微調整や調整法の変更を直訴したという。ある選手は「あまり細かい戦術のこととかは言えませんが、ひとつ言えるのは、試合前の前日練習で、いろいろと詰め込むところがあったので、もっとリラックスしてやりたいという提案をした。監督も受け入れてくれたので、監督のためにも勝とうという気持ちになった」と明かす。

 この手のミーティングは、はまれば一気にチームが一つになるが、結果が出なければ、泥沼にはまる可能性もある。ましてや、指揮官に対し、戦術や調整法について意見をしているから、なおさらだ。最悪の場合、不協和音につ名がってもおかしくないが、大黒の決勝ゴールで、そんなことも稀有に終わったわけだ。

 「1回では意味がないからね。これを続けないと。ゴールデンウィークを、ゴールデンウィークにしたいですね(大笑)」

 大黒は自ら笑いを誘いながら、次戦への意気込みを語った。5月2日の次戦は甲府と、連続して強豪とぶつかる。大黒の言うとおり、まだ負けが先行しており、楽観はできない。これからもエースとしてゴールを決め、勝利に導くつもりだ。

<写真>サポーターに叫ぶ横浜FC・FW大黒
(取材・文 近藤安弘)

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