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“仮想・アジア準々決勝”敗戦もU-16代表候補がジェフR追い詰める

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[5.18 練習試合 U-16日本代表候補 1-3 ジェフリザーブズ]

 千葉県内で合宿中のU-16日本代表候補が18日、40分3本の練習試合でJFLのジェフリザーブズと対戦。1本目35分にMF楠美圭史(東京Vユース)のゴールで先制したが、3本目に3点を失い、1-3で敗れた。U-16代表候補の千葉合宿はあす19日まで。同代表は10月23日から11月7日まで行われるAFC U-16選手権を突破し、2011年のU-17W杯出場を目指す。

 U-16日本代表・吉武博文監督の「(AFC U-16選手権は)4試合目で世界が決まる。25人全員で乗り切ろう」というメッセージがジェフユナイテッド千葉の下部組織に当たる“プロ予備軍戦”に臨むU-16代表候補に送られていた。13日から強化合宿をスタートしたU-16代表候補は14日に流通経済大柏高(千葉)、16日に順天堂大とそれぞれ練習試合で対戦。30分4本で行われた流経大柏戦は最初の2本が0-3で、残りの2本が1-0で“1勝1敗”。そして続く順天堂大戦は4-3で競り勝っていた。

 そして迎えた今合宿“4試合目”のジェフリザーブズ戦。今秋のAFC U-16選手権を突破しU-17W杯に出場するためには、4チームで行われるグループリーグ3試合で2位以内に入り、尚かつ4試合目の準々決勝で勝利し4強入りしなければならない。今回の合宿での“仮想グループリーグ”を2勝1敗で乗り切り“2位ライン”の目標を果たしていたU-16代表候補。「負けると世界にいくことはできない。精神的にプレッシャーをかけていた」(吉武監督)という“仮想アジア準々決勝”となったジェフリザーブズ戦では、指揮官のゲキも後押ししてか、主力組が出場した1本目序盤から社会人相手に真っ向から対抗していった。

 球際こそ厳しいものの、やや切り替えが遅く、攻守に精度を欠くジェフリザーブズに対し、U-16代表候補は野沢英之(F東京U-18)と楠美のダブルボランチを中心とした精度の高いパスワークで次々とボールを相手の選手間へ通していく。野沢のスルーパスでSBの裏を取り、南野の決定的なシュートが相手ゴールを襲った。そして初招集のジャマイカ系FW鈴木武蔵(桐生一高)も前線で身体を張って存在感を見せる。

 そして35分だ。右MF松本昌也(JFAアカデミー福島)がDFの背後に落としたボールで抜け出した楠美が、GKとの1対1を確実にゴールへと沈めて先制した。U-16代表候補は守備面でも1、2本目を通してCBを務めた岩波拓也(神戸ユース)や鈴木隆雅(鹿島ユース)、島田佳祐(鹿島学園高)らが奮闘し、得点を許さない。2本目21分にはカウンターから左サイドを破り、鈴木隆のラストパスを受けた南野が決定的なシュートを放つなど追加点を奪うチャンスもあった。また、2本目終了間際にジェフリザーブズFW福士徳文(前・順天堂大)の決定的なシュートを途中出場のDF徳永裕大(横浜FMユース)がゴールライン上でクリアするなど、集中力を切らさずに2本目までを1-0で切り抜けた。

 だが、先発メンバーから全てが入れ替わった3本目は、パスが3本以上つながらず、ボールを保持できないチームは完全に相手に主導権を握られてしまう。そしてCB、SBの背後を取ってDFラインの裏へと飛び込んでくる相手に連続失点。10分に福士、18分にはMF福田建(前・流通経済大)に決められて逆転されると、1点差で踏ん張ることもできず、34分にはMF鳥養祐矢(前・千葉U-18)に勝負を決定づける3点目を奪われてしまった。

 吉武監督は「2本目までをゼロに抑えたことは評価できること」と評価した一方、「1-3ということは、(世界)切符には届かなかったということ。残念」と勝負にこだわった“仮想アジア準々決勝”での敗戦を残念がった。

 現在のチームの第一目標はアジア予選突破。そのために各合宿では紅白戦を行うなど4試合の実戦を組み、アジア予選準々決勝に当たる4試合目に好パフォーマンスを発揮できるように取り組んでいる。ただ、まだ試合によってパフォーマンスは上下してしまっている。
 吉武監督はこの年代の日本にとって大きな課題は「コンスタントに力を発揮できるかどうか」だという。「世界はこのレベルでも試合によって内容が上下したりはしない。日本も5年前に比べるとサッカーに対する理解度などが上がり、全体のレベルは上がってきているが、まだ世界との差がある」。

 素晴らしい試合を1試合行っても大事な試合でパフォーマンスが落ちるようでは目標を達成することはできない。だからこそ、この波をなくすこと。また、パスミスなどの多かったこの日の試合から技術、判断力をさらに伸ばさなければならないという課題も突きつけられた。そして、世界への意識がまだ低いという選手たちを「世界でプレーしたい。絶対に世界へ行くんだ」へと変える意識付けも行いながら、U-16代表は5ヵ月後のアジア予選で「準々決勝突破」を目指す。
 
<写真>中盤で安定感の高いプレーを見せたU-16代表候補MF野沢
(取材・文 吉田太郎)

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