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FW登録は最多の8人、選手の個性を重視するザック監督

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 DF登録7人、MF登録7人、FW登録8人。ポジション別の登録人数に指揮官のコンセプトが色濃く表れた。アルベルト・ザッケローニ監督が初めてメンバー選考した日本代表メンバーは25人。原博実技術委員長が人選し、練習や試合も指揮した9月のパラグアイ戦、グアテマラ戦のメンバーがベースとなったが、その登録ポジションは大きく様変わりした。

 9月はMF登録で招集された松井大輔本田圭佑香川真司の3人がFWとして選出された。前田遼一関口訓充金崎夢生も加わり、前回は岡崎慎司森本貴幸の2人しかいなかったFW登録の選手が一気に8人に膨れ上がった。

 ポジション別でFW登録の選手が最も多いのは日本代表史上でも異例だ。ザッケローニ監督は「攻守のバランスをテーマにやっていきたいと思っている。攻撃もできると同時に、守りもできるチームを目指していきたい」と力説。FW陣については「攻撃の能力を求めているが、守備の面でもチームに貢献してもらうことを考えている。守備でも要望に応えてくれる選手を選んだ」とした上で「ピッチでは選手の持っている特長を生かせるシステムでやりたいと思っている。守りより攻めの方が得意な選手ということでFW登録にした」と説明した。

 ポジションに深い意味はない。あくまでも役割上の分類に過ぎない。目指すのは選手の個性を最大限に生かすサッカー。システムが4-3-3であれ、4-2-3-1であれ、FW登録の選手に彼らの持っている攻撃力をいかんなく発揮してほしいとのメッセージが込められている。

 センターFWを任せられる選手として、昨季のJリーグ得点王で今季も得点ランキング2位に付ける前田が昨年10月の3連戦以来、約1年ぶりの代表復帰を果たした。首位を独走する名古屋の右FWとしてレギュラーをつかんでいる金崎も2月の東アジア選手権以来の復帰となり、仙台の関口が初選出された。

 攻撃陣に数多くのタレントを並べたザックジャパン。事実上の初陣となる10月8日のアルゼンチン戦に向けても「相手を尊重しなくてはならないが、怖がってはいけない。向こうは個人の能力とチーム力で戦ってくると思うが、我々はチーム力で上回らないといけない。アルゼンチンだからと言って、ディフェンスだけ考えてこの試合に挑んでしまったら間違いだと思う」と言い切った。

 本田を1トップで起用するなど選手全員が守備の意識を高く持って戦い、ベスト16という一定の結果を残した南アフリカW杯からのリスタート。イタリア人指揮官を迎え、新生ジャパンが新たなスタイルに挑戦する。

(取材・文 西山紘平)

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