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2度の長期離脱から復帰初戦の大津がチャンス量産

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 いきなりの完全復活劇だった。右太もも裏肉離れで長期離脱していた柏レイソルの“宇宙人MF”大津祐樹が、3カ月ぶりの復帰初戦であっと驚く90分間フル出場。長期離脱明けとは思えない切れ味のあるプレーで何度も好機を作った。

 「100%不安がなかったというわけではないが、99%は安心してプレーできた。ファーストタッチは正直ビビったが、そこで落ち着いた。フル出場したのは自分の意思。途中で監督に大丈夫かと聞かれたが、行けると答えた」とまずは納得の表情を見せた。

 守備に人数を割く相手に合わせ、持ち味のドリブルをあえて多用せず、シンプルなプレーで狭いスペースを巧みに崩した。田中順也とのワンツーで敵を崩し、ときにはトリッキーなパスでスタンドを沸かせた。もちろん、自分の良さを表現することも忘れていない。「パスサッカーと言っても、パスでゴールが決まるわけではない。自分の武器であるゴール前での仕掛けなど、良さも出せたと思う」と胸を張った。

 3本のシュートを打った。後半ロスタイムに途中出場の小林祐三のクロスに反応し、至近距離で放ったスライディングシュートはGK南雄太の好セーブに阻まれたが、息切れしがちな時間帯に見せた果敢なゴール前への飛び出しは、コンディションが相当戻っていることを示すものだ。

 4月24日の第8節熊本戦で右太もも裏を肉離れし、全治6週間の診断。7月17日の第18節横浜FC戦で復帰したものの、その試合で再び同じ個所を負傷し、またしても全治6週間の診断を受けた。その後、若き才能のフィジカル不安を憂慮したネルシーニョ監督の勧めでブラジルに渡り、カカやロビーニョのリハビリを手掛けたこともある大物トレーナーにみてもらうなど、徹底したリハビリを行い、満を持して復帰した。「フロントがいろいろと考えてくれてブラジルの人々にお世話になった。(柏と)両方のいいところをいただいて、いい経験ができた」と感謝の言葉が自然と出た。

 自身が不在の間に、1学年下の工藤壮人が10得点を上げる活躍を見せ、U-21日本代表にも選ばれた。自身と同じロンドン五輪世代の“ライバル”がチーム内に誕生したことも刺激になっているのだろう。そして、試合後にチームメートたちが口々に言った「祐樹が帰ってきたのは大きい」という言葉。仲間たちの期待も受け、残り6試合でチームの勝利とJ1復帰に貢献するつもりだ。

(取材・文 矢内由美子)

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