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アジアでの敗戦味わった水沼らU-21代表、“敗北の世代”の汚名返上へ

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 2012年ロンドン五輪の出場資格に該当するのは1989年生まれ以降の世代。彼らが最年長として臨んだ08年のAFC U-19選手権では準々決勝で韓国に0-3で完敗し、8大会連続となるはずだったU-20W杯への出場を逃している。

 GK権田修一(F東京)やDF村松大輔(湘南)らその後、日本代表まで駆け上がった選手たちもいたメンバーだったが、彼らは“敗北の世代”として汚名を背負うことなった。当時チームリーダーのひとりだったMF水沼宏太(現栃木)は、U-16代表として出場した06年AFC U-16選手権で優勝カップを掲げた2年後にアジアを勝ち抜く厳しさを味わった。今回のアジア競技大会メンバーにはFW永井謙佑(福岡大)ら当時のメンバーも入っているが、彼らは来年6月にスタートするアジア予選を突破することが簡単ではないことを誰よりも分かっている。

 1989年生まれ以降の世代が中心になって再び立ち向かうこととなったアジアの壁。ただ水沼は「五輪予選は今までとは別物。(2年前の)悔しさはあるけれど、自分としては予選突破は大事だけど、それよりもメンバーに入ることが大事。入れなかったら何にもならない」と先のことよりもまずは目の前の課題をひとつひとつクリアしていくことに集中している。

 U-19代表時は主力だった水沼だが、昨夏のU-20代表韓国遠征を最後にこの世代の代表メンバーリストからは外れていた。横浜FMで出場機会をつかめず、自信を失ったままJ2の栃木へ移籍。それでも再び這い上がってきた。「自分にとっては久々の代表。栃木で実力を認められたことがうれしい。自分は(U-21代表には)最初から呼ばれていないので、自分のよさを出しながら自分のアピールができればいい」。

 アジアでの敗退。そしてどん底を味わった男は、この日ことばにこそ出さなかったが“敗北の世代”の汚名を返上すべく、ほかの仲間たちとともに先頭に立って、五輪予選を突破し今度こそ世界切符を獲得するつもりだ。

<写真>MF水沼宏太は2年前のアジアユース敗退の悔しさを忘れていない

(取材・文 吉田太郎)

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