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W杯優勝スペイン代表のサッカーをドイツ協会コーチが分析

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Text alert@ドイツ・ケルン

 スペイン代表がW杯で見せた多彩で確実なパスコンビネーションによる攻撃は、世界中のサッカーファンの憧れかもしれない。すでに確立、洗練されてきた「4バック+守備的MF+ボールを中心とした守備」という守備ブロックを崩すのは、非常に困難な作業だ。しかし、スペイン代表は南アフリカW杯でその困難な作業を実現し優勝を決めた。

 ドイツの指導者向け専門書『フースバルトレーニン(Fussballtraning)』2010年11月号(写真)では、ドイツサッカー協会コーチであるゲルハルト・ボーデ氏がW杯で優勝したスペイン代表チームについて分析をしているので簡単に紹介したい。

「手元にあるスペースを有効に使い、新しいスペースを勝ち取る」
「スペインの攻撃サッカーのベースとなっているものは、近場にあるスペースにトレーニング通りのランニングで顔を出すことと、素早い状況判断によって最も適切な解答を出すこと」
「最も注目すべき点は、スペインは故意に狭いスペースにパスを出しているということだ。そうすることによって、相手守備陣をひとかたまりにして、その際に生まれたスペースへ素早くボールを運んでいる」
「パスの受け手となる選手たちの注目すべき行動は、相手守備陣の間に入ってゆき、ボールを受けているということだ」

 そして、ゲルハルト・ボーデ先生はスペインを以下のように総括している。

シャビ・エルナンデスが自分のポジションを放棄し、ボールを受けに自陣へ下がる。
・ダビド・ビシャはトップに残る。
アンドレス・イニエスタペドロ・ロドリゲスが手元のスペースへ顔を出すか、守備陣の間へ走り込むか、または守備ラインと中盤のラインの間へ入り込む。
・右サイドのセルヒオ・ラモスが前へ向かう。自動的に相手のMFが外へ引っ張り出される

→この結果、数的優位を達成できる。

 スペインは
・全ての相手に対して圧倒的にボールを支配した。
・W杯出場国の中で最も多くのパスを回した。
・シャビは最も多くのパスを出した。
・スペインのパスの総距離は最長だった。
・セルヒオ・ラモスはサイドバックとして、最も1対1に挑戦した。

 という数字が発生している。単純に「スペインのパスサッカー」が最高なのではなく、こういった戦い方が徹底されての「勝利」であった。次回は資料を入手次第、ドイツ代表チームの分析を紹介したい。ドイツ代表チームのカウンター攻撃も素晴らしいものだった。

(文 福岡正高)

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