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[MOM356]関大一MF梅鉢貴秀(3年)_鹿島入りの注目MF、“地味な”守備とゴールで全国導く

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.13 全国高校選手権大阪府大会決勝 関大一 2-1 阪南大高 長居]

 関大一を2年連続となる選手権の舞台に導いたのは、やはり主将であり卒業後のJ1鹿島アントラーズ入りが内定しているエース・梅鉢貴秀(3年)だった。

 「万全ではなかった」(佐野友章監督)というということもあってか、開始直後は単純なミスからボールロストする場面も少なくなかったが、時間の経過とともに持ち前の躍動感を発揮。16分には、クロスのこぼれ球にしっかりと反応し、思い切りよく足を振り抜いて先制弾。深い位置から前への推進力を与える動きが貴重な先制点を生み出した。佐野監督が「主将の梅鉢が獲ったのが大きかった」と振り返る通り、この一撃でチームを乗せた。

 梅鉢は、それほど派手さはないが堅実なプレーでチームを支えられることが魅力の選手。この日視察に訪れた鹿島の椎本邦一スカウト担当部長が、「彼の良いところは運動量とポジショニングの良さ。基本技術がしっかりしているし、左右で蹴ることができる。賢いプレーができる選手で、黒子として働ける。今のうちで言えば、中田浩二のように、バランスを取ってボールを散らせる選手として期待している。すぐには難しいと思うけど、3年後ぐらいに柴崎(岳・青森山田)とコンビを組めたらおもしろいんじゃないかな」と期待を込める逸材だ。

 「怪我の影響もあって、運動量は本来のものではなかった」(佐野監督)とはいえ、この試合でもその強みを垣間見ることはできた。苦しくなった終盤、相手が入ってくるスペースを次々に埋め、“勝負パス”のカットを繰り返した彼の働きは、地味ながらも関大一の勝利に大きく貢献した。

 「グギグギっていう音がしたので、折れてるんじゃないかと思う」と話すほど左肘を痛めながらも、ピッチに戻ってチームを鼓舞しながらプレーを続けたメンタリティも魅力であり、全国の舞台でも関大一のリーダーとしてたくましいプレーを見せてくれると心待ちにして良いだろう。現時点で明らかになっていない負傷の具合は心配だが、今年の関大一は、この男抜きに語れない。

(取材・文 永田淳)

【特設】高校選手権2010

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