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“新人王”の宇佐美、次の目標にA代表&五輪代表入りを宣言!

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 天才が新たな称号を手にした。ベストヤングプレイヤー賞に高校3年生の18歳ながらガンバ大阪の主力として活躍した宇佐美貴史が選ばれた。リーグ戦26試合出場7得点という堂々たる成績を残し、総投票数287のうち147票を獲得。2位のMFチョ・ヨンチョル(新潟)は同42で、圧倒的な支持を得て栄冠を勝ち取った。

 「実感がないですね。取れるとは思っていなかったです。このような賞をいただいたことをうれしく思います。G大阪というクラブに関わっているすべての人に感謝すると同時に、一番は家族に感謝したいです」

 昨年までの新人王に該当する名誉ある個人タイトル。初めて着たというタキシード姿で、堂々と受賞の喜びを語った。表彰式後の囲み取材では大先輩のMF遠藤保仁にも負けない数の報道陣に囲まれた。宇佐美というニュースターが誕生し、名実ともに多くの人に認められた一日となった。

 昨年、高校2年生ながらトップに昇格。今季途中にはプロA契約を締結し、瞬く間にG大阪の主力に登り詰めた。波はあったが、シーズン終盤にはFWルーカスら助っ人を押しのけてFWのレギュラーになった。FWペドロジュニオールがシーズン中に移籍したり、FWゼ・カルロスやFWドドら新助っ人が機能しない中、“若き天才”がカバーしてリーグ2位に貢献した。

 しかし、満足はしていない。「自分の持ち味、どんどん前に(ドリブルで)進んでいく特徴は出せた。最後のフィニッシュまでは貪欲にいけたと思う」としつつも、「スタメンで出られない試合があった。もっとスタメンで試合に出て、点を取らないといけない。正直、倍(のゴール数)は取れていたと思う。外したのは決定的なのが多かった。性格上、満足できる性格ではないんで」と言い切った。

 遠藤や二川孝広、橋本英郎ら豪華な中盤がひしめくガンバとあって、スルーパスはバンバン出てくる。それだけにもっとゴールを量産できたという責任を感じている。本人の見立て通りなら14得点できたわけだが、これはFW平井将生(G大阪)と並ぶチームトップで、全体の得点ランクでも5位の数字。18歳とは思えない、この向上心が躍進の秘訣といえる。

 「来年は、このような賞を獲ったことに恥じないようなプレーを続けていきたいです。A代表のアジア杯予備登録メンバーに選ばれた? すごくうれしい。でもまだ50人が発表されただけなんで、23人に選ばれるかわからない。23人に入れるように頑張りたい」

 この日、来年1月のアジアカップ2011の予備登録メンバー50人が発表されたが、宇佐美もノミネートされた。本人が自覚しているように最終的な23人に選ばれることは簡単ではないが、そう遠くない将来、日本を背負って立つ選手として可能性を秘めている。

 来年はU-22日本代表によるロンドン五輪予選もスタートする。宇佐美は“飛び級”となるが、こちらは中心選手として期待される。U-19日本代表のアジア選手権では準々決勝で敗退し、U-20W杯の出場を逃した。日の丸でのリベンジにかける思いは強い。

 「五輪代表? 狙っていきます。世界で借りを返したい。悔しさは忘れてはいけない。これからずっと持っていかないと。悔しさが晴れることはないんで、ずっと持ち続けて、成長して、世界の舞台で活躍できるようにしたい」

 宇佐美は強い決意を明かした。五輪代表では中心選手として、A代表では起爆剤として期待されるが、応える準備はできている。そのためにも「今年試合に出て、Jリーグのスピードを体が覚えた。(G大阪で)スタメンで継続して試合に出て、成長したい」と意気込む。“ガンバの至宝”から“日本の至宝”へ。宇佐美には無限の可能性が広がっている。

▼各賞の一覧はコチラ

[写真]ベストヤングプレイヤー賞を受賞したMF宇佐美貴史

(取材・文 近藤安弘)

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