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[大学選手権]横浜FM内定の森谷「優勝して風間監督を胴上げしたい」

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[12.18 全日本大学選手権1回戦 筑波大1-0立命館大 平塚]

 納得がいかなかった。横浜FMへの入団が内定している筑波大のMF森谷賢太郎(4年)は、試合後に招待していた小学生らとの交流会では笑顔だったが、取材中の表情は硬かった。プレーは決して悪くは見えず、むしろ“プロの片鱗”を見せるシーンもあったが、反省ばかりが口をついた。

 「自分たちのサッカーができなかった。ミスが多かった。攻撃でのアイデアも出せなかった。理由? 技術というよりは、頭の方だと思う。僕は自分が中心でやってるとかは思っていない。もっとみんなのプレーを引き出すというか、仲間を活かすプレーをしたかった」

 トーナメント初戦という精神的な硬さはもちろん、注目選手ゆえにマークの厳しさがあったが、一切、言い訳にはしなかった。そこにはプロ内定者としての向上心というよりは、今大会が筑波大で、このメンバーで最後の試合になるだけに、悔いの残らない大会にしたいという思いがあった。

 「プロに入るからとかは意識してないです。風間さんのサッカーができなければ、プロとしてやっていけない。(それに)あと筑波大での試合は多くて3試合。(技術アップが優先の)監督は、タイトルを取るためにやってないと言われていますが、優勝して風間監督を胴上げしたいんです」

 森谷は2003年度以来9回目の優勝を目標に掲げた。風間監督は当然、タイトルがいらないわけではない。名門校は勝利至上主義になりがちになるが、指揮官は将来につなげるためには、サッカーは技術こそが大事だと考え、そういう指導をしている。放り込むサッカーで勝つよりは、中盤を作って、いい試合をして勝つ。それが選手のためになるはず-。選手もこれに共感している。だからこそ、尊敬する指揮官の求めるサッカーをマスターし、日本一になりたいという思いが強い。

 「次はうちらしい試合をして勝ちたいです。うちには赤崎(赤崎秀平)とかいいいFWがいるんで、活かせるプレーをしていきたい。そして試合を決められるようにしたい」と森谷。自身の持ち味でもあり、チームも目指すパスサッカーで勝ち抜く-。強敵がひしめくインカレだが“大学日本一”を置き土産にJリーグへ行く、これが今の夢だ。

[写真]パスを配給する森谷。次こそキラーパスを連発したい

(取材・文 近藤安弘)
第59回大学選手権特集

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