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興梠&大迫の2トップ弾で鹿島が王者・名古屋をみたび撃破

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[12.25 天皇杯準々決勝 鹿島2-1名古屋 カシマ]

 天皇杯は25日、各地で準々決勝を行い、カシマスタジアムでは鹿島アントラーズ名古屋グランパスが対戦。鹿島は前半7分、FW興梠慎三が先制点を決めると、名古屋も後半31分にMF小川佳純のゴールで追い付いたが、同33分にFW大迫勇也が決勝点を奪い、鹿島が2-1で競り勝った。

 リーグ戦で4位に終わり、天皇杯優勝で来季のACL出場権を取りたい鹿島は今季限りで退団するFWマルキーニョスはすでにブラジルに帰国。FW大迫勇也が先発し、FW興梠慎三と2トップを組んだ。
 リーグ初優勝を果たした名古屋はDF田中マルクス闘莉王、FWケネディ、FW玉田圭司、MFダニルソンら主力が多数欠場。システムは4-4-2で、中盤の両サイドにMF橋本晃司とMF小川佳純が入り、2トップはFW金崎夢生とFW杉本恵太の組み合わせだった。
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 試合は立ち上がりに動いた。前半7分、ハーフウェーライン付近でボールを持ったMF野沢拓也が前線に長いスルーパス。右サイドから中に走り込んだ興梠が一瞬早くDF増川隆洋の前に出てボールに触れると、前に飛び出してきたGK高木義成もかわし、左足で無人のゴールに流し込んだ。

 幸先良く先制点を奪った鹿島は中盤で主導権を握り、試合を優勢に運ぶ。前半22分には細かいパス交換から最後はMF小笠原満男がミドルシュートを狙ったが、これはGKの正面に飛んだ。

 思うようにゲームを組み立てられない名古屋は前半23分、GKからのロングボールをMF吉村圭司が頭でそらし、杉本が俊足を生かしてDFラインの背後を取るが、シュートはDF岩政大樹の体を投げ出したブロックに阻まれた。

 ところが、この直後、鹿島にアクシデントが襲う。前半24分、右足を痛めた岩政が突然ピッチに倒れ、担架で運び出される。そのまま交代を余儀なくされ、今季限りでの現役引退を表明しているDF大岩剛が急きょピッチに入った。

 突然の出番にもベテランらしい落ち着いたプレーを見せた大岩は試合の流れを相手に渡さない。名古屋は前半28分に金崎が遠めからミドルシュートを放つも大きく枠を外れるなど攻撃が単発だった。

 鹿島の1点リードで折り返した後半開始から名古屋は橋本に代えてFW巻佑樹を投入。杉本が中盤の右サイドに下がり、巻と金崎の2トップに変わった。

 攻撃に人数をかけ、同点ゴールを目指す名古屋だが、鹿島の体を張った粘り強いディフェンスに阻まれ、なかなかシュートまで持ち込むことができない。逆に鹿島がカウンターからチャンスをつくり、後半6分にはロングボールを受けた興梠のポストプレーからMFフェリペ・ガブリエルがシュートを放つなど積極的に追加点を狙った。

 名古屋は後半16分、吉村に代えてMF花井聖を投入。小川がボランチに下がり、巻の1トップの背後に金崎、花井、杉本が並ぶ4-2-3-1にシステムを変更した。攻撃的布陣で圧力を強める名古屋は同31分、DF田中隼磨の右クロスを巻が頭で落とし、ゴール前に走り込んだ小川が下に叩き付けるヘディングシュート。これがきれいにGKの股間を抜き、ついに同点に追い付いた。

 ところが、その2分後の後半33分、鹿島はPA内でフェリペからのパスを受けた大迫が鋭い切り返しで増川をかわし、左足でゴール右隅にねじ込む。失点からわずか2分後の勝ち越し弾で再び名古屋を突き放した。

 今季リーグ戦では鹿島に2戦2敗の名古屋。リーグ王者のプライドに懸けて猛反撃を見せるが、後半35分の杉本のシュートもゴールライン上でDF新井場徹が何とかクリア。同44分にDF阿部翔平に代えてMF田口泰士を投入し最後のカードを切るが、反撃及ばず、鹿島がそのまま2-1で逃げ切った。

(取材・文 西山紘平)

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