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ラストプレーで興梠が劇弾、鹿島が延長120分間の激闘制し3大会ぶり決勝へ

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[12.29 天皇杯準決勝 鹿島2-1(延長)F東京 国立]

 天皇杯は29日、準決勝2試合を行い、国立競技場では鹿島アントラーズFC東京が対戦。F東京は前半39分、FW平山相太の豪快なバイシクルシュートで先制したが、鹿島も後半22分にFW大迫勇也のゴールで追い付く。延長戦にもつれ込んだ激闘は延長前半5分にMF米本拓司が2枚目の警告で退場。数的優位に立った鹿島は延長後半ロスタイムにFW興梠慎三が劇的な決勝点を奪い、2-1で競り勝った。3大会ぶりの決勝進出を果たした鹿島は来年1月1日の決勝(国立)で3大会ぶりの優勝&4年連続のACL出場権を懸け、清水と対戦する。

 試合前に行われた準決勝もう1試合で清水がG大阪に勝ったため、来季のACL出場権を獲得するには自分たちが優勝するしかなくなった鹿島。25日の準決勝・名古屋戦(2-1)で負傷交代したDF岩政大樹が欠場し、今季限りでの引退を表明しているDF大岩剛がCBで先発した。
 F東京は準決勝・福岡戦(延長3-2)から先発4人を変更した。福岡戦で負傷したDF中村北斗に代わってDFキム・ヨングンが左SBに入り、GKは権田修一がゴールを守り、DF椋原健太が右SB、FW鈴木達也が2トップの一角で先発。MF梶山陽平が右MF、MF徳永悠平がボランチに入る4-4-2でスタートした。
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 立ち上がりは鹿島が勢い良くF東京陣内に攻め込んだ。前半2分、PA内のこぼれ球を拾ったMFフェリペ・ガブリエルがゴール前に折り返し、フリーのMF野沢拓也が強烈なシュートを放ったが、GK権田が体を張ったセーブ。同12分にも自陣からのロングボールを野沢がワンタッチで流し、FW興梠慎三がゴール前に抜け出す。しかし、興梠の左足シュートはコースが甘く、またしても権田のセーブに阻まれた。

 前半14分には右サイドからカットインしたFW大迫勇也が左足ミドル、同19分にも野沢がミドルシュートを狙ったが、いずれも枠を捉え切れなかった。

 序盤の劣勢をしのいだF東京も徐々に流れを引き寄せる。前半22分、ロングフィードを受けた鈴木が右サイド角度のない位置からシュート。これはゴール右に外れたが、ようやく初シュートを放ち、反撃態勢を整えた。

 前半24分、MF米本拓司が思い切りよくミドルシュートを狙うと、同33分にはキム・ヨングンの左クロスをPA内で受けた梶山がボールキープから後方に落とし、フリーのMFリカルジーニョが右足でフィニッシュ。決定的なチャンスだったが、シュートはゴール右に外れた。

 そして前半39分、リカルジーニョの左クロスをFW平山相太がゴール正面から豪快なオーバーヘッドシュート。190cmの巨体が宙を舞い、左足から放たれたシュートはクロスバーの下側を叩き、真下に落ちた。跳ね返りを椋原が押し込んだが、平山のシュートがすでにゴールラインを割っていたとして、公式発表は平山の得点に。国見高時代から国立競技場で過去13戦19得点を記録している“国立男”の芸術的なバイシクルシュートでF東京が先制に成功した。

 1点ビハインドで前半を折り返した鹿島は後半開始から大岩に代えてMF青木剛を投入。MF中田浩二がCBに下がり、青木がボランチに入った。

 同点ゴールを目指す鹿島だが、後半立ち上がりもチャンスをつくるのはF東京。後半14分、梶山のパスを右サイドで受けた椋原のピンポイントクロスを平山が打点の高いヘディングで捉えたが、シュートはGKの正面を突いた。

 鹿島は後半16分、右足首を痛めたフェリペに代えてMF本山雅志を投入。2枚目の交代枠を切り、反撃を狙った。後半20分にはPA内のこぼれ球を拾った野沢が至近距離から右足で狙うが、ゴール上へ。決定的なチャンスを逃したが、その直後についに同点に追い付いた。

 後半22分、左サイドでボールキープした野沢が絶妙なヒールパス。スペースに走り込んだDF宮崎智彦が左足ダイレクトでゴール前に折り返すと、後方から走り込んだ大迫が強烈なヘディングシュートを叩き込んだ。

 1-1に追い付かれたF東京は後半27分、鈴木に代えてMF石川直宏を投入。石川は右サイドに入って梶山がトップ下に移り、平山が1トップの4-2-3-1にシステムを変更した。

 鹿島は後半31分、本山の横パスを受けた野沢が絶妙なボールタッチでDFをかわし、左足で狙うも、シュートはGKの正面。F東京も同43分、リカルジーニョの左クロスに平山が頭で合わせたが、ゴール左へ外れた。

 F東京は後半44分、椋原に代えてFW大黒将志を投入。徳永が右SB、梶山がボランチに下がり、前線は平山と大黒の2トップに変わった。

 鹿島は後半47分、ゴールほぼ正面でFKのチャンスを獲得し、MF小笠原満男が右足で直接狙ったが、GK権田が右手1本でスーパーセーブ。何とかゴールを死守し、試合は1-1のまま延長戦にもつれ込んだ。

 延長前半5分、F東京は米本がこの試合2枚目の警告を受け、退場に。残り25分間、10人での戦いを余儀なくされた。数的優位に立ち、一気にF東京を押し込む鹿島は延長前半12分、高い位置でボールを奪った本山が自らドリブルで持ち込み、左足でミドルシュートを狙うもゴール左へ。ほぼ相手陣内でゲームを進めながら、なかなか勝ち越し点を奪えない。

 このままPK戦突入かと思われた延長後半17分、PA手前でパスを受けた本山がゴール前に浮き球のスルーパス。スペースに飛び出した大迫がトラップからシュートを狙うと、ゴール前の混戦からこぼれ球を興梠が押し込んだ。直後に試合終了のホイッスルが鳴り響き、鹿島が劇的な幕切れで決勝進出を果たした。

(取材・文 西山紘平)

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