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鹿島の次代を担う和製2トップが2戦連続アベック弾、大迫「僕と慎三さんが取れば勝てる」

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[12.29 天皇杯準決勝 鹿島2-1(延長)F東京 国立]

 ゴールが決まった直後に試合終了のホイッスルが鳴り響いた。歓喜に沸く鹿島アントラーズの選手と、がっくりとひざを落とすF東京の選手。PK戦突入かと思われた延長後半ロスタイムのラストプレーで明暗が分かれた。

 延長後半ロスタイムの表示は1分。ちょうどその1分が経過した延長後半16分だった。PA手前でFW佐々木竜太からパスを受けたMF本山雅志がゴール前に浮き球のスルーパスを送る。PA内に走り込んだFW大迫勇也のトラップは「足元に入り過ぎた」が、猛然と詰める相手GKとDFの動きをよく見て、冷静に横に流した。ラストパスはフリーのFW興梠慎三の足元へ。落ち着いて右足で押し込み、延長120分間の死闘に終止符を打った。

 「最後は足が動かなくなっていたけど、チャンスは絶対に来ると思っていた」と興梠は言う。延長後半5分にF東京のMF米本拓司が退場し、数的優位に立った。ほぼハーフコートゲームとなり、一方的に押し込んでいた鹿島からすればPK戦は避けたい展開。そんな土壇場で生まれた劇的な決勝弾だった。

 和製2トップが2戦連続の“アベックゴール”だ。準決勝・名古屋戦は前半7分に興梠が先制点を決め、同点に追い付かれた直後の後半33分に大迫が決勝点を奪った。この日は0-1の後半22分に大迫がDF宮崎智彦の左クロスに頭で合わせ、貴重な同点弾。反撃ののろしを上げ、興梠の劇弾につなげた。

 今季限りでの退団が決まっているFWマルキーニョスはすでにブラジルに帰国。来季以降、鹿島を引っ張っていく立場となる日本人2トップが2試合連続で結果を残した意味は大きい。MF小笠原満男は「ゴールならだれでもいいけど、FWにはやっぱり点を取ってほしい」と言い、MF中田浩二も「チームにとってはいいこと。サコ(大迫)は試合の状況、状況で自分のプレーができるようになってきたし、頼もしくなってきた」と認める。元日の決勝へ弾みの付く2トップ連弾となったのは間違いない。

 来年1月1日、清水との決勝には4年連続のACL出場権が懸かるが、選手はそれ以上に最後のタイトルに飢えている。4連覇を目指したリーグ戦は4位に終わり、ACLは決勝トーナメント1回戦、ナビスコ杯も準々決勝で敗退した。興梠は「天皇杯は絶対に取らないといけない。ACLのためにも勝たないといけないし、絶対に優勝したい」と力を込め、大迫も「ACLというより、しっかり天皇杯を取りたい。その結果、ACLが付いてくればいい」と力説する。4シーズンぶりの無冠(富士ゼロックススーパー杯を除く)に終わるわけにはいかないという意地とプライドがある。

 「スタメンで出られるチャンスが今だし、そこでしっかり結果を出して信頼を得られるようにしたい。まだ、あと1試合残っている。そこでしっかり決めたい。僕と(興梠)慎三さんが点を取れば勝てると思うし、次も切り替えて勝ちたい」。3試合連続のアベック弾を誓った大迫との連係に興梠も「1試合1試合、2人の関係も良くなってきている。次の決勝も勝ちたい」と手応えを深めている。鹿島の次代を担う2トップがチームに14個目のタイトルをもたらし、新時代の到来を告げる。

[写真]2試合連続のアベック弾となった鹿島FW興梠とFW大迫

(取材・文 西山紘平)

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