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初招集から4年4ヵ月。伊野波が待望の代表デビュー

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[1.17 アジア杯B組 日本5-0サウジアラビア アルラーヤン]

 長い長い道のりだった。イビチャ・オシム監督が指揮を執った06年9月の中東遠征で日本代表に招集されてから4年4ヵ月。DF伊野波雅彦(鹿島)が、とうとう代表のピッチに立った。

 「3-0というスコアだったので、状況を考えてプレーした」

 シリア戦で警告を受けていたDF内田篤人が前半7分にイエローカードをもらった。累積2枚で次戦の出場停止が決まると、ザッケローニ監督はハーフタイムから伊野波を右SBに投入した。所属の鹿島ではCBを務めており、SBをこなすのは左も含めて久々だったが、既にグループリーグ敗退の決まっているサウジアラビアを相手にそつのない守備を見せたのはもちろん、攻撃でも魅せた。

 後半6分、右サイドで岡崎のパスを受けると、ゴール前に正確なクロスを上げて、FW前田遼一の代表3年ぶりゴールをアシストした。

 「出るからには結果を残さないといけない。やるからには少しでもアピールしようと思ってプレーした。クロス? もう2、3本アシストできるような場面があったので、もっとできたと思う」と貪欲だ。

 昨年9月の日本代表発表。日本サッカー協会が報道陣に最初に配った資料で伊野波は「日本代表初招集」と書かれていた。すぐに訂正資料が配られたが、協会関係者ですら間違ってしまうほどのブランクだった。アルゼンチン戦、韓国戦も結局出番はなし。この大会でも2戦目まではベンチを温めるだけだった。

 ただ、「しっかりやっていれば、何年かかろうが出番が来ると思ってやっていた」と、自分を信じて歩いてきた。鹿島での地道な努力が実を結んだ格好だ。

 内田が出場停止となる準々決勝のカタール戦で先発するのは間違いない。「緊張しなかった。リラックスしてプレーできた」という強心臓の持ち主が、カタールの攻撃陣を封じてみせる。

[写真]代表デビューを果たした伊野波

(取材・文 矢内由美子)

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