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「絶対負けられなかった」U-18代表候補、7ゴールでU-17代表候補との“兄弟対決”制す!

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[2.16 練習試合 U-18日本代表候補 7-2 U-17日本代表候補]

 “兄弟対決”は“兄貴分”のU-18日本代表候補が勝利――。16日、2013年のU-20W杯を目指すU-18日本代表候補と今夏U-17W杯に出場するU-17日本代表候補が静岡県内で練習試合(45分2本)を行った。試合はMF杉本竜士(東京Vユース)の先制ゴールなど7ゴールを叩きだしたU-18代表候補が7-2で快勝。年上の意地を見せた(出場メンバーはこちら)。

 「向こうは年もひとつ下。絶対に負けられなかった」とFW宮本拓弥(流通経済大柏高)が振り返ったように、気合十分だったU-18代表候補がU-17代表候補を飲み込んだ。ともにメンバー選考の一環という意味合いが強いテストマッチ。加えてU-17代表候補は高校の定期試験や体調不良のためCB植田直通(大津高)ら主力数人を欠いていた。それでもU-17代表候補は昨年のAFC U-16選手権を経験するなど、チーム発足から約2年が経っているのに対し、U-18代表候補は今回の合宿がチームの始動だという状況。チームとして“出来上がっている”U-17代表候補が試合を支配するのではないかという予想もされていた。

 だが、立ち上がりから相手を圧倒したのは1世代上のU-18代表候補。試合開始5分、右MF榊翔太(札幌U-18)の折り返しを受けた左MF杉本竜士(東京Vユース)が豪快な左足シュートを放つ。弾丸ライナーでU-17代表候補ゴールを襲った一撃はゴール左ポストを叩き、そのままゴールへと吸い込まれた。

 いきなり先制したU-18代表候補は「(試合に勝つと同時に)個人的にもアピールしなきゃいけない。ボールがないとアピールできないですから」と意気込む古波津辰希(流通経済大柏高)と荒野拓馬(札幌U-18)のダブルボランチ中心に素早い寄せでボールをもぎ取るなど、相手をシュートレンジに近づけない。
 また攻撃面では左サイドの杉本とSB舘野俊祐の東京Vユースコンビ、右サイドの榊と小山内貴哉との札幌U-18ラインが互いのよさを出し合い、それぞれのサイドで機能。そして16分には榊の右CKをファーサイドから飛び込んだ舘野が「SBでも今日は点を取ってアピールしようと思います」という宣言通りに頭で押し込み2-0とすると、19分には宮本拓のスルーパスに反応した榊が左足シュートを決めて3-0とした。

 だが、攻勢は20分過ぎまで。その後はダイレクトパスを多用しながら相手のプレッシャーをかわしたU-17代表候補が完全に主導権をつかんだ。30分にFKのこぼれ球を詰めたゴールはオフサイドの判定により取り消され、その後も決定的なシュートがクロスバーを叩いたほか、U-18代表候補CB工藤将太朗(大宮ユース)のスーパークリアによってゴールからかき出されたが、ビッグチャンスをつくり続けた。そして43分、相手DFのミスを突いたエースFW南野拓実(C大阪U-18)がドリブルシュートを決め、意地のゴールによって1-3で1本目を終えた。

 U-18代表候補が全選手を入れ替え、U-17代表候補も9選手が交代した2本目は17分に右クロスからCB塚本健介(久御山高)が決めた追加点を合図にU-18代表候補のゴールラッシュがスタート。24分にMF加藤大樹(立正大淞南高)が得意の左足で加点すると、27分にはFW坂本樹是(久御山高)が意表を突くグラウンダーの右足FKを決めて6-1。29分にはFW鈴木雄斗(横浜FMユース)が豪快な左足ミドルをゴールへ叩き込んだ。

 U-17代表候補は試合終了間際、右サイドから切れ込んだFW菅嶋弘希(東京Vジュニアユース)が1点を返したが、注目MF高木大輔(東京Vジュニアユース)が「(U-18代表候補の)先輩たちのプレーは質が高くて一つひとつの正確さがあってやられた」と認めたように精度、激しさで上回ったU-18代表候補が年上の意地を見せて7-2で勝った。

 12日に立ち上げたU-18代表は候補54選手を2グループ(第1グループ=12日~15日、第2グループ=15日~18日)に分けて招集。今回練習試合を行ったのは前日15日に合宿をスタートした第2グループのメンバーだった。U-20W杯へ向けたAFC U-19選手権(アジアユース)の1次予選は今秋にスタート。時間はそれほどないだけに選手たちにとっては一回一回の練習、試合が貴重なアピール機会となる。吉田靖監督は「(今回の合宿は)選手選考だよ、と伝えている。選手を55人近く呼べるのはもう次回以降はない。これからチーム作りをしていく。1次予選を勝ち抜かないと次はない。そのための準備をしていく。(練習試合へ向けては)昨日、今日とトレーニングして、ミーティングの中でチームのコンセプトを表現してくれと言った。可能性のある選手は多いと思ったが課題は多い」と評価した。

 「先輩」の意地を見せてU-17代表候補との練習試合に勝利したU-18代表候補第2グループのメンバーだが、すでに合宿を終えているU-18代表候補第1グループを上回る印象をスタッフたちに与えなければならない。残り2日間となった合宿。この日の練習試合以上のアピールで「代表生き残り」を目指す。

[写真]激しくボールを奪い合うU-18代表候補MF榊(右)とU-17代表候補MF秋野
(取材・文 吉田太郎)

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