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4年ぶり復帰の家長が存在感。もう一度得られた代表定着のチャンスに「身が引き締まる思い」

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 慣れ親しんだピッチ、旧友たちに囲まれて楽しそうにボールを蹴っていた。約4年ぶりの日本代表復帰を果たしたFW家長昭博(マジョルカ)が存在感を発揮した。紅白戦では3トップの左に入り、得意のドリブルなど巧みなボールコントロールを披露。右FWに入った盟友・本田圭佑とのコンビネーションで攻撃にアクセントを加えるなど、久しぶりの代表とは思えなかった。

「初めての監督なので、戦術の話とか新鮮でした。学ぶことも多いです。力に変えていければ。代表に復帰して気合も違う? 久しぶりに日本でサッカーができるので、そっちのほうが楽しみですね」

 ザックジャパン初招集はもちろんだが、日本代表は2007年6月のキリン杯以来の招集となった。当時とはメンバーが変わったが、何事にも動じない、物おじしない性格は健在だった。この日の練習場は昨年まで在籍したC大阪の本拠地だったうえ、周りにはFW乾貴士(C大阪)やG大阪ジュニアユース時代からの盟友・MF本田圭佑、そしてDF内田篤人(シャルケ04)ら北京世代がズラリとおり、その“光景”に違和感は全くなかった。

「日本からの連絡で地震があったことを聞きました。それで、インターネットで調べましたね」。震災のことは今冬から移籍したスペインの地で知った。兵庫で生まれて京都で育ち、そしてジュニアユースからG大阪に所属していた家長は、阪神大震災の被害を間近で経験している。それだけに今回、東日本を襲った未曾有の震災に心を痛めている。自身のブログでは発生当時、「息の詰まる思いでネット中継を見ています。被災された皆様の安否が心配です」などとつづっているが、地元関西で行われる慈善試合で、少しでも被災者を勇気づけるプレーをみせる意気込みだ。

 家長にとっては、代表生き残りのための試合にもなる。「生き残りにはアピールが大事? それも大きいですね。注目も感じる。今回だけが特別というわけじゃないけど(震災のチャリティーマッチでもあり)より一層、身が引き締まる思いです」。前回招集された2007年は、3月のペルー戦で後半40分から途中出場し、国際Aマッチ初出場を記録した。しかし、ほとんど見せ場なく終わった。その後の6月のキリン杯にも招集はされたが、このときは出番が得られなかった。以来、A代表から遠ざかった。

 当時はまだ、北京五輪予選に挑むU-22代表が主戦場だった。しかし、今は違う。欧州組としてサムライブルーの一員に復活した。約4年の歳月の間、ジュニアユース時代は自分の控えだった本田圭佑が日本代表の主力に成長した。もちろん、自分も-の思いがある。チャリティーマッチとはいえ、日本代表の生き残りを目指し、本気で戦う姿を見せることが、被災者への元気づけにもなるはず。期待のレフティーは、持ち味の華麗なドリブルでファン・被災者はもちろんのこと、ザッケローニ監督も魅了するつもりでいる。

(取材・文 近藤安弘)

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