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東京VのスポンサーMJS社長が作詞・作曲した東京Vクラブソング「With You」、被災地へ届くように

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 東京ヴェルディは3日、東京都多摩市陸上競技場で東北地方太平洋沖地震の被災者への支援を目的としたチャリティーイベントを行った。今回のイベントには、クラブソングの『With You』を歌うYU→KA with $.H.U.Tさんも参加した。

 クラブソング『With You』はスポンサーである株式会社ミロク情報サービスの是枝周樹社長が無償で作詞・作曲を手がけた歌。スポンサー企業の社長がクラブソングを作るのは異例のこととなる。なぜ、このようなことが実現したのか。その理由は是枝氏の経歴がサッカーと音楽の両方に大きく結びついているところにあった。

 是枝氏は18歳の時にミュージシャンを志して渡米。ロサンゼルスなどでは、有名なバンドにも参加していた。しかしギタリストにとって致命的であるケガを負い、夢半ばに23歳の時に帰国。その後、国内で様々な経験を経て、現在の株式会社ミロク情報サービスへ入ったのだ。それ故、音楽への造詣は深く「音楽に関するベースはあるので、曲をつくるといっても“想い”と歌詞があればできる状況でした」と話す通りだ。

 そして、もちろんサッカーに対する“想い”も熱い。東京都多摩市の府中第六小学校の第2期生としてサッカーを始めた是枝氏は、MF中村憲剛やFW澤穂希の先輩にあたる。「ずっと多摩でサッカーをやってきて、慣れ親しんだスポーツに対して何かできないかと、ふつふつとした思いはありました」。

 だからこそ東京VがJ1昇格を果たした08年、代理店からの提案をすぐに受け入れ、「東京のチームだし、これは何かの縁」とスポンサー契約を結んだ。しかし、その後はJ2で低迷し、昨年は経営問題からクラブの存続危機までもが取り沙汰された。「なんとかしなきゃいけないという想いがあった」。是枝氏の中でヴェルディの存在は日に日に大きくなっていったのだ。

 そして、昨年11月に「会社でいう社歌のようなものは必要」と『With You』を書き上げ、東京Vの羽生英之社長にクラブソングの提供を提案。即座に快諾を受けた。是枝氏は「これは応援歌ではなくて、クラブソング。クラブとしての誇りが持てるような歌にしたいですし、それをクラブとして定着させることで、クラブとしてのブランドの維持だったり、選手やみんなのモチベーションを高くしていきたい」と力強く話す。

 実際に歌うYU→KA with $.H.U.Tさんに対しても「クラブソングを歌うのだから、東京Vとともに生きて、ともに育ちということがあるべき姿なのではないか」とそのあり方を問いかける。

「年重ねるごとに小さくなるような心に夢なんて入りきらないよ 強く生きることを忘れないように 自分を信じることを続けていくのさ 誰かが言っていた もし神様がいるとすれば君の心の中 何のために生きているのか 少しずつわかる気がする 希望というハートの欠片 少しずつ拾い始めよう With You」

 どんなに悔しくても前を向いて歩こうという想いがこもった歌詞が「今は復興支援の状況と歌詞とがオーバーラップしているんですよね」と是枝氏は静かに話した。今季のホーム戦では『With You』がスタジアムで流れる予定となっている。様々な想いのつまったクラブソングにのせ、それに後押しされるように、選手たちは全力でサッカーをプレーして被災地へ向けてのエールを送る。

[写真]募金活動に参加したYU→KA with $.H.U.Tさん

(取材・文 片岡涼)

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