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「恩や愛情は表現し切れない」マルシオ、エジミウソンが日本でのプレーを明言

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[4.10 練習試合 浦和3-0山形 埼玉]

 相次ぐブラジル人選手の退団にも浦和レッズのブラジル人選手は日本に残ってプレーすることを明言した。前日9日、仙台のFWマルキーニョスが契約を解除し、この日、山形のDFウーゴも退団が決まった。4日には新潟もMFジョン・パウロとの契約を解除。東日本大震災による精神的なショックや、福島第1原発事故による放射能被害への不安はサッカー界にも大きな波紋を広げている。

 MFマルシオ・リシャルデス、FWエジミウソンはこの日、山形との練習試合に先発出場し、そろってゴールを決めた。試合後、報道陣から他クラブのブラジル人選手が退団していることを聞かれると、こうした状況に理解を示したうえで、日本への愛着が揺るぎないことを力説した。

「外国人にはこうした経験が少ないし、不安になるのは当然だと思う。僕らがいるところよりマルキーニョスがいるところの方が大変。ブラジル人選手が減るのは悲しいけど、彼らの立場になると、それが正しかったのかなと思う」。マルシオ・リシャルデスはそう話し、エジミウソンも「彼がした決断だし、彼にとってはその決断が一番安全だったんだと思う」と気遣った。

 2人に不安がないわけではない。マルシオ・リシャルデスは地震当時のことを「正直、ものすごく怖かった。奥さんと11階に住んでいるけど、階段をすごい勢いで下りた。突然の出来事で驚いた」と振り返る。それでも「そのあと神戸に行って、距離と時間を置いて、状況が落ち着いた。浦和に帰って来てからは、ここは安全だと思って、もう一度頑張ろうと思った。原発とか危険性を背負って生きているのかもしれないけど、みんなが一つになって、一緒に頑張ることが大事だと思う」と力を込めた。

「長く日本にいて、この国に対する気持ちはものすごく強い。日本に対する恩や愛情は表現し切れないぐらい大きい」。日本への愛着を口にするエジミウソンは「難しい決断だったけど、家族が一つになって問題を乗り越えることが大事だと思った。家族とこの国のおかげで自分はこの場所にいる。本当に感謝している」と強調。マルキーニョスについても「彼には日本でつくってきたキャリア、ストーリーがある。もう一度、日本に戻ってきて、プレーしてほしいと思っている」と話し、将来もう一度Jリーグでプレーするときが来ることを願っていた。

「クラブが僕をいさせてくれる限り、ここにいます」とエジミウソンが言えば、マルシオ・リシャルデスも「日本にはこうした状況を乗り越える力があると思う。自分はレッズで最後までいい仕事をして、タイトルを取れるように力を尽くしたい」と誓った。日本への恩返しとなるプレーを見せる。2人の表情には強い決意がにじんでいた。

[写真]練習試合で得点を決めたマルシオ・リシャルデス(右)が原口元気と喜ぶ

(取材・文 西山紘平)

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