[4.29 J1第8節 福岡1-2鹿島 レベスタ]

　今季3試合目にして、ようやく鹿島アントラーズがリーグ戦初勝利を挙げた。敵地で福岡と対戦し、2-1の逆転勝ち。中3日で行われるACL・上海申花戦を見据えて、一部の主力選手を休ませたが、今季J1に昇格してきた相手を前に底力をみせつけた。

　MF本山雅志、DF新井場徹、DF中田浩二が遠征メンバーに入らず、3日後に行われるACLに備えて温存された。代わりに、ルーキーMF柴崎岳、DF昌子源、FWイゴールがベンチに入った。4-4-2システムのGKは曽ヶ端準、最終ラインは右から今季新潟から加入した西大伍、岩政大樹、伊野波雅彦、アレックス、ダブルボランチは青木剛、小笠原満男。2列目は右から野沢拓也、遠藤康、2トップは大迫勇也と興梠慎三が務めた。

　立ち上がりからハプニングが襲った。前半11分、アレックスが左足首を痛めて負傷交代。MF増田誓志が左SBに入った。直後の同14分には小笠原のパスに左サイドを抜け出した興梠がクロスを上げ、大迫が走りこんだが、わずかに合わない。その後は押し込まれる時間が続いた。そして同40分、左サイドを崩されてクロスを許すと、MF中町公祐に飛び込まれ、先制点を決められた。

　鹿島が力を発揮し始めたのは、後半に入ってからだった。後半14分、西のパスを右サイドで受けた野沢が切り返しから中央へパスを送る。走りこんだ遠藤がヒールで後ろへ流し、PA内左から興梠がシュート。GKが弾いたボールは浮き球になるが、大迫が右足で詰めて、試合を振り出しに戻した。勢いづいた鹿島は、小笠原らを中心に立て続けにチャンスをつくる。

　そして、後半29分には逆転弾が生まれた。野沢が左CKからニアサイドへ蹴り込んだボールに、合わせたのは岩政だった。DFの前へ身体を入れると、豪快に頭で叩き込んだ。逆転に成功すると、同29分には遠藤に代わり、MF本田拓也。同40分には、ゴールを決めた大迫に代わって、この試合がJデビューとなる柴崎がピッチへ送られた。そのまま、危なげなく逃げ切った鹿島が2-1で勝利。逆転劇で、今季初白星を手に入れた。

　決勝ゴールを決めた岩政は試合後のテレビインタビューで「まずは次の一勝。ACLもあるので一歩、一歩、歩いていきたいと思います」と次戦を見据えていた。また、勝利したもののオズワルド・オリヴェイラ監督は厳しい表情。ACL組のG大阪、C大阪、名古屋ら4チームの中で唯一、鹿島だけが今節をアウェーで戦った上に、中3日と休みが1日少ないことを指摘。「なぜかアントラーズだけが不利な日程。どれだけ我々を不利にさせたいのか、どれだけいじめたいのかと思ってしまう」と過密日程に対して、強く苦言を呈していた。

(文　片岡涼)