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3季ぶり東京ダービーはスコアレスドロー。F東京は10人に、東京Vは平本がGKを務めるアクシデント

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[5.4 J2第10節 東京V0-0FC東京 味スタ]

 J2第10節は4日に10試合が開催され、味の素スタジアムでは東京ヴェルディFC東京の“東京ダービー”が行われた。2008年8月以来約3年ぶりの首都決戦。J2での対戦は初となるが、ここまでリーグ戦では6勝2分6敗と星も五分で迎えた中、0-0のドローに終わった。後半9分にF東京はFWロベルト・セザーが退場し10人になったが、東京Vはゴールを割れなかった。東京Vは連敗を3で止め今季初勝ち点を獲得。F東京は2試合連続ドローで、3試合連続で白星から見放された。

 東京Vは4-4-2を採用。GKは前F東京の土肥洋一、DFラインは右から福田健介、土屋征夫、深津康太、森勇介。ダブルボランチは佐伯直哉と小林祐希が組み、2列目は右に井上平、左に菊岡拓朗が入った。2トップは河野広貴と平繁龍一が組んだ。

 対するF東京も4-4-2を採用。GKは権田修一、DFラインは右から椋原健太、森重真人、今野泰幸、阿部巧。ダブルボランチは徳永悠平と梶山陽平が組み、2列目は右に鈴木達也、左に羽生直剛が入った。2トップはロベルト・セザーと高松大樹が組んだ。

 東京Vは開幕から3連敗で最下位という中でライバル決戦を迎えたが、立ち上がりから積極的にプレスをかけ、奪ってからは持ち味のショートパスで攻めた。序盤こそ、地力で勝るF東京が跳ね返し、前半4分にはゴール前で梶山がクリアミスを拾い、体勢を崩しながらも押し込んだが、これはGK土肥が片手で弾き出した。同6分には阿部の左クロスを高松が頭を合わせたが、枠を外れた。

 その後、10分前後から東京Vが完全に主導権を握り始める。前半9分、東京Vは土屋が攻め上がりロングシュート。同16分には縦パスに平繁がスピードを活かしてドリブル突進。森重に倒されたようにも見えたが、笛はならなかった。同17分には河野が左足ミドルで脅かすなど、ゴール前で素早い攻撃を仕掛け続けた。同22分には、右サイドでのFKを河野がゴール前へ入れ、これを高松がヘディングでクリアしたが、あわやオウンゴールかという軌道となった。

 攻め込んでいた東京Vだが、アクシデントが襲う。平繁が腰を痛めたため、前半28分にFW平本一樹と交代となった。だが、流れはその後も東京V。同35分にはパスカットから最後は菊岡がシュート。しかしこれは力なく、GK権田にセーブされた。さらに同40分にはCKから井上がヘディングシュート。同41分には平本の落としから井上がミドルシュートを放ったが、GK権田にセーブされた。

 F東京はGK権田や今野&森重のCBコンビらが懸命に守り、何とか攻撃につなげようとしたが、効果的な攻撃ができない。梶山が再三、縦パスを狙ったが、受け手とのコンビネーションがうまく合わず決定機を作れなかった。それでもゴールは許さず、前半は0-0で折り返した。

 後半、共に選手交代なくスタートした。開始5分、東京Vがチャンスを得る。左サイドのFKで、河野のキックから土屋がヘディングシュート。GK権田を超えて枠に飛んで行ったが、カバーに入っていた今野がヘディングで弾き返した。

 そんな中、後半9分、F東京を悪夢が襲った。カウンターからロベルト・セザーが快足を活かしてドリブルで仕掛けると、PA右で相手守備陣ともつれて倒れた。しかしこれは故意に倒れたと判定され、セザーに警告が出された。前半37分にも警告を受けており、これでセザーは退場となった。

 10人になったF東京は後半14分、高松に代えてMF谷澤達也を入れた。鈴木を1トップに、右MFに谷澤を入れる4-4-1の陣形にシフトした。さらにF東京は同23分、羽生に代えてFWペドロ・ジュニオールを投入。今度は1トップをペドロにし、左MFに谷澤、右MFに鈴木を配置した。

 対する東京Vは後半26分、小林に代えてMF飯尾一慶を送り出した。菊岡がボランチに回り、飯尾は左MFに入った。F東京は1人少なくなってから、カウンター攻撃とやることがはっきりしたせいか、攻撃に鋭さが出てきた。後半28分、森重の浮き球パスを谷澤が巧みなトラップで前を向きシュート。ゴールネットに突きさしたが、トラップの際にハンドがあったとしてノーゴールとなった。

 後半33分には、F東京は椋原の右クロスにペドロが反応。頭を合わせたが、惜しくも左に外れた。1人多いながら主導権をつかみきれない東京Vは同35分、井上に代えてFW市川雅彦を投入した。しかし、F東京がチャンスを迎える。後半36分、CKのチャンスで鈴木のキックがファーに流れ、今野が右足でシュート。だが少し弱くGK土肥にセーブされた。

 その後もF東京が押し込む場面が続く。そして後半42分、F東京は鈴木に代えてMF中村北斗を送り出した。これで両軍ともすべての交代カードを切った。ロスタイムは4分。攻守の切り替えが速いF東京が攻める展開が続く。後半47分、ペドロ、梶山、ペドロとつないでカウンター攻撃。ゴール前まで持ち込んだが、東京V選手にクリアされ、CKとなった。

 この際、ゴール前での混戦プレーでGK土肥が足を負傷。担架で外へ出され、そのまま退場した。東京Vはすでに交代枠を使い切っていたため、FWの平本が急きょGKを務めた。その後、CKやカウンターを受けた東京Vだが、何とか守り切り試合終了。3シーズンぶりの“東京ダービー”は攻守に激しい試合となったが、0-0の引き分けに終わった。

(取材・文 近藤安弘)

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