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小倉会長、「サッカーファミリーの善意を被災地に」

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 日本サッカー協会は11日、公式HPで連載されている小倉純二会長のコラム「今日もサッカー日和」を更新した。第15回は「サッカーファミリーの善意を被災地に」という題で10日に寄稿されている。

以下、コラム全文

▽サッカー活動再開

 JリーグやJFL、なでしこリーグなどが再開され、ゴールデンウィークはサッカー観戦に行かれた方も多いのではないでしょうか。
 私も4月23日にJ1リーグ第7節の鹿島アントラーズと横浜F・マリノスの試合を観に国立競技場に行きました。雨にもかかわらず、スタンドには 1万5688人ものファン・サポーターが詰めかけ、被災地の復興を願う横断幕をたくさん掲げて応援しているスタンドを見て胸が熱くなりました。残念ながら 0-3で鹿島は敗れてしまいましたが、次節のアビスパ福岡戦で勝利。5月3日に行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)でも上海申花に2-0で快勝し、決勝トーナメント進出を決めました。
 東日本大震災後2度目のホームゲームとなったベガルタ仙台は5月3日のJ1リーグ第9節で3連勝して、この節で首位に浮上。現在は3位につけていますが、被災した宮城の人々と心をひとつに奮闘しています。同じく被災地をホームタウンとする水戸ホーリーホックは、再開した23日の徳島ヴォルティス戦で勝利したものの、その後の3試合は残念ながら勝ち星を挙げられていません。しかし、どの選手も、被災地の人々はもちろん日本をサッカーで元気づけようと、白熱したプレーを繰り広げています。
 世界のサッカーファミリーも日本を応援してくれています。その一方で、原発の被害が日本全土に広がっているような印象を世界に与えており、今後、大会などで来日することに難色を示すチームが出てくることが危惧されます。ですから我々としても日本が安全だとわかってもらうことが重要だとして、FIFAには逐次、日本サッカーの状況を知らせています。Jリーグをやっているということがわかれば安心するでしょうから、Jリーグ再開はいいニュースでした。そういった日本サッカーの情報はFIFAのホームページに掲載されていますので、皆さん、たまにはご覧になってください。
 今回の大震災によって世界のサッカー界の関心が日本に注がれもするでしょうから、Jリーグの選手には奮起してもらいたいですね。今こそ、スポーツ、そしてプロ選手の真価が問われるときです。選手が真摯にサッカーに取り組む姿は、困難に立ち向かう人々の共感も呼びますから、選手は本分をわきまえ、フェアでアグレッシブなプレーで人々の期待に応えてほしいと思っています。

▽チャリティーオークション落札額総額は、4422万7162円

 さて、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、日本サッカー協会(JFA)と日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は4月4日から4週にわたって「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン」のチャリティーオークションを実施しました。
 オークションには、3月29日に開催したチャリティーマッチでSAMURAI BLUEとJリーグ選抜(JリーグTEAM AS ONE)の選手が着用したユニフォームをはじめ、彼らが持ち寄ったスパイクやユニフォーム、両チーム監督のサイン入りボール、主審のレッドカード、イエローカードなど87点が出品され、その落札は総額は4422万7162円に上りました。
 最も落札額が高かった品は220万円以上の値がつきました。出展された品の平均落札額も1点、50万円を超えていますから、すごいことですね。オークションに参加してくださった方、高い額で落札してくださった方には心から御礼申し上げます。
 ちなみに、チャリティーマッチ自体の収益金は1億1349万8492円で、このうちの6349万8492円と、この試合で集まった募金 2231万7199円、それとチャリティーグッズの収益3389万1485円、そして、前述したチャリティーオークションの収益の総額が日本赤十字社に寄付され、被災地の復興に充てられます。
 また、チャリティーマッチの収益のうちの5000万円は、岩手県、宮城県、福島県の震災で被害を受けたサッカー復興に使われ、被災したサッカーファミリーが一日も早くサッカー活動ができるよう、サッカー環境の整備や用具の提供等に役立てられることになっています。
 こういった額からもわかるように、今回のチャリティーマッチには多くの人々の善意が集まりました。チャリティーマッチを見に来てくださった観客の皆さん、募金をしてくださった多くの人たち、懸命にプレーをすることで被災地の人々を勇気づけたいと集まってくれた選手、監督、審判員。無償で国歌斉唱をしてくださった倉木麻衣さん、試合会場や練習場を無償提供してくださった大阪市、(財)大阪市スポーツ・みどり振興会、募金活動やチャリティーグッズの販売を手伝ってくれたサッカー関係者や解説者の皆さん等など、多くの団体、企業、個人の方々が支えてくださいました。そういったすべての皆さんに感謝し、御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 しかし、被災地の復旧、復興にはまだまだ長い時間がかかります。JFAは、この支援活動を継続してつづけていこうと、東日本大震災風光支援義援金口座とサッカーファミリー復興支援金口座を開設し、義援金や支援金を募っていきたいと考えています。日本には、388万人ものサッカーファミリーがいます。その全員が手を携え、東日本の復興を加速させることができればと願っています。

▽FIFAのゴールプロジェクトに申請

 ところで、FIFAのゴールプロジェクトをご存じでしょうか。これは、ブラッター会長の発案で1999年に始まった助成制度で、FIFAが各協会の施策である「FIFAゴールプロジェクト」を援助することで全てのFIFA加盟協会が、協会本部とテクニカルセンター、ピッチといった施設を完備しようというものなんです。JヴィレッジにあるJFAメディカルセンターは、FIFAゴールプログラムの助成を受けて出来たもので、同プロジェクトにおける初の医療施設なんです。
 今回の震災にあたっては、既にFIFAに対してサッカーの復興支援をお願いしています。ブラッター会長からは、JヴィレッジとJFAメディカルセンターの再建について財政的支援を約束してもらっており、この二件についてはFIFAゴールプログラムでできるのではないかという見通しが示されています。
 JFAメディカルセンター新設の際にフェーズ3まで申請し、合計で120万ドルの助成を受けたのですが、ブラッター会長はJヴィレッジとメディカルセンターの再建について、フェーズ4~6の範囲でやれるか検討すると話していました。
 その他、被災地のサッカーファミリーの活動を後押しするサッカー用具(ボール、シューズ、ウェア、ミニゴールなど)や岩手、宮城、福島におけるフットボールセンターの設置、Jクラブのホームスタジアムの修繕の支援をお願いしています。FIFAの支援は被災地のサッカー復興に大きな力になりますから、是非とも承認されればと思っています。

財団法人 日本サッカー協会
会長 小倉純二

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