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難敵に逆転勝ちのU-22代表、課題と手ごたえの90分間

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[6・1 国際親善試合 U-22日本代表 3-1 U-22オーストラリア代表 東北電ス]

 “関塚ジャパン”にとって国内初の国際親善試合となったオーストラリア戦は、今月19日と23日に行われるクウェートとのロンドン五輪アジア2次予選へ向けて不安と手ごたえのある試合となった。

 課題が残ったのはディフェンスが混乱した立ち上がりの戦いぶりだ。U-22日本代表はゾーンのディフェンスシステムで試合をスタートしたがSBと中盤との連係が悪く、序盤は相手の両ワイドとSBに自由にボールを通されて立て続けに決定機をつくられてしまった。3分の失点シーンはMF清武弘嗣(C大阪)の左CKのクリアボールを相手に拾われ、日本はそこから3本のパスで左サイドを崩されて先制点を献上してしまった。オフサイドを取りに行くのかどうかの判断にズレもあり、フリーの選手にボールをつながれて完全に攻略されてしまった。

 関塚隆監督は「経験面と言うかボールサイドに行くのか、マークをするのかという判断とかがまだ。(自分たちの中で)きっちりできるようにしていかないといけない」と口にしていたが、左サイドの劣勢はその後も続き、相手の右MFサーナックとトップ下のMFニコルス、右SBフォスキーニのトライアングルの動きに守備網が破られてしまう。またGK権田修一(F東京)が「オーストラリアの方がハードワークしていた」と分析した前半は最後まで試合を支配されたまま。ただロスタイムにFW永井謙佑(名古屋)のファインゴールで追いついた後半は、関塚監督の指示でそれぞれに選手をつけて前を向かせないことを徹底。それで相手はボールを下げざるを得ない状況へと追い込まれ、決壊していた堤防が埋まったと同時にオーストラリアの攻撃の勢いは止まった。

「しっかりと改善したことで後半は自信をもってできた。自分たちのやるところがパシッと決まってスムーズさは出た」と指揮官。自分たちで流れを食い止めることができなかったのは反省材料だったが、まるで別チームのようだった後半の戦いぶりはクウェートとの大一番にもつながりそうだ。

 また今年に入って国際試合4試合で4得点の攻撃陣がエースFW永井の驚異的なスピードも活かして3ゴール。永井だけでなく、トップ下のMF東慶悟(大宮)、右MF清武、左MF原口元気(浦和)の技術とスピードを兼ね備えた前線4選手によるカウンター攻撃は脅威だった。東も「いい形でカウンターをやると4人でやりきれるし、ゴールを取れる自信もある」と手ごたえを口にする。期待のストライカー、FW大迫勇也(鹿島)にもゴールが生まれた試合に永井は「失点してから取り返して逆転できたのは自信になる」。

 ロンドン五輪のアジア出場枠は3.5。ホーム&アウェーによる2次予選を突破した12チームが4チーム3グループに分かれて最終予選を行う。最終予選の各グループ1位はその時点でロンドン切符を獲得。2位は集中開催によるプレーオフを行い、その1位チームがアフリカとの大陸間プレーオフを戦う。長い道のりとなる。

 そのスタートで対戦するクウェートは2月の中東遠征で同国A代表と対戦し、控え組中心の相手に0―3で大敗している。A代表の対戦成績は3戦全敗。五輪世代も1勝1敗と相性の良くない相手だが、この日の勝利を弾みに調整を続け、まずは第1関門突破を果たす。

(取材・文 吉田太郎)

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