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圧巻ミドル&決勝アシスト、4連勝で6位浮上も大迫「鹿島が6位じゃダメ」

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[8.17 J1第9節 鹿島2-1C大阪 カシマ]

 和製大砲が目覚めの一発で4連勝に導いた。鹿島アントラーズはFW大迫勇也の1得点1アシストで2-1の逆転勝ち。東日本大震災による震災被害、ACLとの過密日程など苦しいシーズンを送ってきたが、真夏の連戦で4連勝。消化試合が少なかったこともあり、一時は降格圏となる暫定16位にまで順位を落としたが、ついに6位へ急浮上した。

 失点直後の同点弾で流れを引き戻した。後半7分、カウンターから10人のC大阪に先制点を許す展開。一瞬、静まり返ったスタジアムを再び興奮に包んだのが大迫の圧巻ミドルだった。

 後半10分、ピッチ中央でMFフェリペ・ガブリエルからパスを受けると、鋭い切り返しでMF中後雅喜をかわし、PA外から右足を一閃。GKも反応できない弾丸ミドルがゴール左上に突き刺さった。「結構練習していた。あのタイミングでずっと打とうと思っていた」。失点から3分で試合を振り出しに戻すスーパーシュートで一気にたたみかけた。

 後半29分には中盤でパスミスをカットしたMF増田誓志からパスを受けてPA内に切れ込むと、DFを引き付けてフリーの増田にリターンパス。「前半に誓志さんがフリーだったのに強引に打ったところがあったし、誓志さんが見えたので」と、丁寧なラストパスで決勝点をアシストした。

 6日の山形戦(3-1)以来、2試合ぶりとなる今季4点目。今季16試合目の出場で、ルーキーイヤーだった09年の3得点(22試合)を上回り、昨年の4得点(27試合)に並んだ。この日は両チーム最多の6本のシュート。後半26分にFW田代有三が入ってからはサイドに回ったが、切れのある動きと積極的な仕掛けで攻撃陣を引っ張った。覚醒した感もある背番号9は、その理由をこう明かす。

「前回のC大阪戦(7月31日)の前に(中田)浩二さんから『取られたら取り返すから仕掛けろ』と言われて。それまではボールを失わないようにしていた。消極的になって、(プレーが)後ろ後ろになっていた。そこが一番だと思う」

 先輩の言葉で吹っ切れ、迷いのなくなった大迫のプレーに牽引されるようにチームもそこから破竹の4連勝。MF野沢拓也が「攻守の切り替えのところとか“らしさ”が戻ってきた試合が続いている」と言えば、大迫も「一人ひとりが本当に走っている。それが勝っている要因だと思う」と胸を張る。昨年は8月の5試合で3分2敗と1勝も挙げられずに失速。4連覇を逃す遠因となったが、今季は7月31日のC大阪戦(3-1)からの4連勝で巻き返しの足場を固め、順位も6位にまでジャンプアップした。

 それでも大迫は「鹿島が6位じゃまだダメ。もっと上にいけるように全部勝ちたい」と、さらなる高みを見据える。6位とはいえ、首位・名古屋とは勝ち点12差。07~09年まで3連覇を成し遂げた“元王者”がここで満足するわけにはいかない。これで消化試合は全チームが21試合で並んだ。シーズン終盤へ、横一線からの“リスタート”。野沢は「上位に近づけるチャンスだったので、勝ててよかった。優勝するためには、一つひとつ、目の前の試合で勝ち点3を取ることが大事。連勝を続けていきたいし、次に切り替えて、また勝ち点3を狙いたい」と力を込めていた。

(取材・文 西山紘平)

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