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やり直しにも動揺せず、ワグネルが“2度”のPK成功で首位に貢献。「他のチームにチャンスを与えないようにしたい」

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[10.16 J1第29節 柏1-0山形 柏]

 これが経験豊富な名手のメンタルの強さだ。柏レイソルのMFジョルジ・ワグネルが前半33分にPKを決めて1-0勝利に導いたが、簡単なキックではなかった。実力が“凝縮”されていた。

 前半31分の柏のCKの場面で、DF増嶋竜也がDF石井秀典に引っ張られてPKを獲得した。キッカーは、MFレアンドロ・ドミンゲスが出場停止だったため、ジョルジ・ワグネルが務めた。左利きの名手は同32分、左上に速いボールを蹴り、GK清水健太の逆をつく形でゴールネットに突き刺した。

 しかし、これは柏の選手が蹴る前にPA内に入ったとしてやり直しになった。ここで並の選手なら余計にプレッシャーに感じてしまい、失敗するパターンだが、ジョルジ・ワグネルは同33分、再び左に強いボールを蹴り、GK清水が伸ばした手よりも先に、ゴールネットに突き刺した。

「みんなの期待を感じていた。でも、自信を持って蹴った。普段から練習しているから、あの場面でもきっちりと決められた。2回とも同じ左? どのGKもそう考えるかはわからないが、1回目のコースとは違うコースに、2回目は蹴ると予想してくるだろうと考えた。自分はその逆をいくつもりで同じ所に蹴った」

 ジョルジ・ワグネルは涼しい表情で振り返った。さすがは、ブラジルの名門サンパウロから来た助っ人で、今年で33歳とベテランの域に達しているだけのことはある。このPK弾で、リーグ戦3試合ぶりの今季8得点目。夏場以降は左MFを務めているが、開幕当初は左SBを務めていた。そう考えると、十分すぎるほどの得点を稼いでいる。

 自らのゴールが9試合ぶりの首位浮上につながった助っ人MFは「昨日の試合の結果を知ったうえで、今日の試合に臨んだ。今回、首位に戻れて良かったと思う」と感想を口にした。ただ、すぐに気を引き締めた。「まだ残り5試合ある。リーグ戦は続いている。次の試合に向けて集中し直さないといけない。アウェーの広島は、すごく危険な相手だ」と次節22日の敵地・広島戦に切り替えていた。

 そして「自分たちには、タイトルがかかっているので、相手は向かってくる。これからの残り5試合、対戦相手は自分たちを食ってやろうという気持ちで来る。自分たちは良い準備をしないといけない。自分たちは他のチームにチャンスを与えないようにしないといけない」と“警笛”を鳴らした。次節は背番号「10」のレアンドロ・ドミンゲスが帰ってくる予定。頼もしい助っ人たちに牽引され、柏はVロードを走り抜ける。

[写真]PKを決めたワグネル(左)に仲間たちが駆け寄って喜び合う

(取材・文 近藤安弘)

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