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「怖さはあったけどうまくいった」“本職ゼロ”の4バックで完封

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[10.29 ナビスコ杯決勝 浦和0-1(延長)鹿島 国立]

 急造4バックが完封した。後半31分から左SBのDFアレックスに代えてMFフェリペ・ガブリエルを投入していた鹿島アントラーズは同35分にDF青木剛が2枚目の警告で退場。右SBのDF新井場徹をCBに回し、ボランチのMF柴崎岳を右SBに下げ、緊急事態に対応した。

 元々はボランチであるCBのDF中田浩二を含めれば、右から柴崎、新井場、中田、フェリペと並ぶ“本職ゼロ”の最終ライン。相手は後半5分から10人で戦い、疲労もピークを迎えていたとはいえ、延長戦を含めた40分間、危なげなく無失点に抑えた。

 DF岩政大樹が負傷離脱中で、DF伊野波雅彦は今夏にハイデュク・スプリトへ移籍。駒不足の最終ラインを支えたのが32歳のベテラン、中田だ。「フェリペとイバ(新井場)と(柴崎)岳でしょ。正直、怖さはあった」。正直な心境を吐露しながらも「うまくいったのは、全員の共通理解だと思う。声をかけ合いながらできた。特にやり方を変えることもないし、共通意識を持ってやれたのが大きかった」と胸を張った。

 MF小笠原満男は「DFライン4枚はみんな本職じゃないところでやっていた。でも、問題なくできたし、そこがうちの強みだと思う」と言う。どんな状況になっても動じることなく、チームのために、勝利のためにプレーできる。若手からベテランまでが融合し、総力戦で乗り越えた。

 中田は試合後のミックスゾーンで突然「つった!」と叫んで右太腿裏を押さえ、苦笑いを浮かべた。気が緩んで疲れが出たのか、それだけ神経を使って120分間プレーしていたのは間違いない。

「今年は震災があって、僕らがタイトルを獲れたのは意味のあることだと思う。東北だけでなく、鹿嶋や神栖など茨城のサポーターにも被災された方がいる。少しでも勇気や希望を与えられればと思っていた。自分たちというより、サポーターのためにという気持ちが一番強かった」

 前人未到の15冠目は、チームにとっても、選手にとっても、サポーターにとっても、忘れられない特別なタイトルとなった。

(取材・文 西山紘平)

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