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涙の国立から4年、河井が“プロの生き様をみせてくれていた”大前とチームメイトに

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 4年前の全国高校選手権を盛り上げた、慶應義塾大のMF河井陽介(4年=藤枝東高)がいよいよ来春、清水エスパルスでプロ生活をスタートさせる。4年前の1月14日、選手権の決勝で河井擁する藤枝東高はFW大前元紀(清水)の率いる流通経済大柏高に0-4で敗れた。涙の国立から4年、奇しくも河井は大前のいる清水へ入団することが決まった。

 河井は高校卒業後、一足先にプロ入りした大前について、「元紀はプロの生き様をみせてくれていた」と話す。選手権終了後から親しくなり、大学入学後、河井が清水へ練習参加した際には、練習場まで一緒に行くなど、交流を深めた。「いつもサッカーの話は全然しない」と笑って話すが、Jの舞台で高卒ルーキーとして、もがき苦しみながらも経験を重ねる大前の存在は刺激になった。

 今季、チーム内最多の8得点(31試合出場)を決めている大前の活躍については「今年もすごく試合に出て活躍していますし、自分よりは先に行っていると思う。まずは元紀に追いつけるように。自分が試合に出て同じ立場でできるように、まずは自分が頑張らないといけない」と力を込めた。ともにプレーするイメージも湧いているようで、「ボールを持ったときは元紀にパスを出して、元紀がゴールを決めてくれるというのを描きながら、(今後は)練習だったり、試合に臨む上で、もっといい関係をつくっていきたい」と意気込んだ。4年前のライバルとJ1の舞台でともに戦う日は近づいてきている。

 大学1年生時から強化指定選手として、清水へ練習参加をしていた。当時は「全くプロでは通用しないな」と感じ、練習についていくのがやっとだったという。それから2年間に渡って、トレーニングに参加するなかで、「徐々に自分のプレーを出せるようになって、チームメイトの選手たちともコミュニケーションを取れるようになっていった。練習参加するたびに自分が成長するのを感じられた」。そして09年に特別指定されると、満を持して清水入団が内定した。

 入学当時の慶應義塾大は関東2部リーグだったが、そんな中でも河井は結果を出し続け、全日本大学選抜では中心選手として活躍してきた。4年間での経験試合数はプロ選手にも劣らない。1年目へ向けては「1日でも早く試合に出て、チームの勝利に貢献できるように日々努力していきたい」と意気込んだ。地元・静岡で夢だったプロ選手として、河井が大きな一歩を踏み出す。

(取材・文 片岡涼)

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