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[クラブW杯]バルサとの世界最強決定戦へ、ネイマール「歴史に残るゲームになる」

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 これ以上のモチベーションはない。世界最強クラブと世界一を争う。しかも、相手は自らの獲得を熱望するバルセロナ。クラブW杯決勝を翌日に控えた17日、公式会見に出席したサントスのFWネイマールは高ぶる気持ちを抑えながら意気込みを語った。

「自分にとってだけではなく、チームメイトにとっても、サントスにとっても、サッカーの歴史に残るゲームになる。ただ、ナーバスになっているわけではない。自分は冷静でいる。相手がすごいチームだということは分かっている。いつも言っているけど、相手がどこだろうと、場所がどこだろうと、自分のサッカーをしたい。明日もそうしたいと思っている」

 試合はバルセロナが中盤を圧倒的に支配することが予想される。いつもどおりのプレーは難しいかもしれない。しかし、ボールを奪ってからのカウンターがはまれば、ネイマールのスピードも生きる。

「ずっとボールを持ってプレーしたい選手にとって、ボールが来ないのは難しいけど、自分の動きで味方にスペースを空けたり、そういう貢献もできる。仲間と助け合いながらプレーしたい。サントスは僕だけでなく、すごい選手が他にもいる。みんなの力が大事だと思う」

 一人の力で勝てるほど、バルセロナは甘い相手ではない。個人のゴールよりも、チームの勝利を。「日本に来た目的の一つはサントスが決勝に来ることだった。世界一のチームと試合をする夢は叶った。今、一番大きな夢はタイトルを取ることだ。だれが点を決めるとかは関係ない。一番大事なのはサントスがチャンピオンになること」と力説した。

 ネイマールにとって、日本は縁のない国ではない。08年8月に開催された第9回豊田国際ユース大会でU-16ブラジル代表の一員として来日。U-16日本代表とも対戦し、1-1で引き分けている。09年10月のU-17W杯ナイジェリア大会でもグループリーグ初戦の相手がU-17日本代表だった。FW宇佐美貴史、FW杉本健勇、MF柴崎岳、MF高木善朗らを擁した日本と激しい打ち合いを演じ、自らの1ゴールもあり、3-2で競り勝った。

「ビックリしたのは日本でもいろんな人が自分のことを知っていたこと。これだけ自分の名前が話題に出るとは思わなかった」。2度目の来日の感想を口にしたネイマールは「初めて日本に来たときも温かく迎えてくれた。日本に戻って来れてうれしいし、特に自分が愛するサントスと来れたことは本当に幸せな気持ちだ」と語った。

 ブラジルの至宝をめぐっては、バルセロナとレアル・マドリーが激しい争奪戦を繰り広げるなど、その去就に世界的な注目が集まった。そんな中、11月にサントスとの契約を2014年まで更新。それでも3年後を見据え、欧州のビッグクラブによる“綱引き”はとどまる気配がない。

「自分はもう一度、サントスに残るという正しい選択をした。そして決勝まで来た。正しい選択をして、結果が出たことをうれしく思っている。バルサでもレアルでも、いろんなクラブが興味を持ってくれるというのはうれしいし、光栄に思う。しかし、サントスのユニフォームを着ている限りはサントスのために力を尽くさないといけない」

 サントスの一員としてバルセロナを破り、世界一になる。自分の価値をさらに高め、自分の存在を世界中に知らしめる、これ以上のチャンスはない。「選手としては、チームに貢献する責任がある。相手が優勝候補であろうが、いいサッカーをしないといけない。今、自分はサントスの選手。明日はサントスのために点を取って、チームに貢献したい」。舞台は整った。世界最強の称号をバルセロナから奪い取るための決戦が、いよいよ幕を開ける。

(取材・文 西山紘平)


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