[選手権]東北勢対決で見せたプレミアの意地、青森山田が得意のカウンター、サイド攻撃で「ドリブル軍団」聖和学園沈める!
[1.2 全国高校選手権2回戦 青森山田高 5-0 聖和学園高 等々力]
第94回全国高校サッカー選手権2回戦が2日に行われ、青森山田高(青森)と聖和学園高(宮城)との東北勢対決は5-0で青森山田が快勝した。青森山田は3日の3回戦で桐光学園高(神奈川)と戦う。
東北のチームとして唯一、高校年代最高峰のリーグ戦である高円宮杯プレミアリーグに所属。青森山田にはJクラブユースや高体連トップチームとの18試合で最後まで優勝争いをして2位になったプライドがあった。対戦した聖和学園は“セクシー対決”と評された野洲高(滋賀)との初戦を7-1で快勝。「東北のドリブル軍団」は非常に良い形で2回戦に臨んできていたが、青森山田は黒田剛監督の「我々が東北のトップだということを示す大一番だ」というメッセージの下、左SB北城俊幸主将(3年)が「同じ東北でも自分たちはプレミアでトップチームがやっているというプライドがあったので、絶対に負けられない気持ちでチーム全員で戦えたと思います」と振り返る戦いを見せて東北ナンバー1チームであることを示した。
青森山田は立ち上がりから2人、3人がボールホルダーに襲いかかるアグレッシブなディフェンスをする同時に、1年間プレミアリーグで磨いてきた「ゴールを隠す守備」(黒田監督)。全体でバランスを取りながらボールとゴールとの間に立つことでシュートコースを開けず、また、ドリブルで抜きに来る聖和学園との間合いを複数で一気に詰めてボールを奪い取る。聖和学園の加見成司監督は「(引かれるよりも)出てきたほうがいいかなと思っていた」と語ったが、ドリブルとハイプレスとの駆け引きを制したのは青森山田の方。そして黒田監督が「運動量的には絶対にウチの方があると思っていたので、左右へどんどんボールを動かしていくことがひとつと、それから枚数かけて攻撃してくるので速く攻撃すること、サイドから速く突破をしていくこと」と説明した理想の攻撃を体現して大量得点に繋げた。
前半8分、青森山田はMF住永翔(2年)が左サイドへ展開すると、素早いワンツーで縦へ切れ込んだ北城が左足でクロスを放り込む。ニアサイドでFW鳴海彰人(2年)が潰れてファーへ流れたボールに詰めたMF豊島祐希(3年)が右足シュート。GKは反応していたものの、DFに当たってコースの変わったボールがそのままゴールネットへと吸い込まれた。先制した青森山田だが、聖和学園の独特なドリブル攻撃の前にファウルを犯すことも少なくなかった。それでも、ゴールに近い位置までボールを運ぶことを許さず。そして一瞬の隙を突いて追加点を奪った。
35分、自陣で得た右スローインからSB原山海里(3年)がクイックでのロングスロー。聖和学園DFが頭で弾くが、クリアボールを拾った鳴海が間髪入れずに縦へ仕掛けて突破する。そして低い弾道のクロスを入れると、走りこんだMF嵯峨理久(2年)が右足ダイレクトでゴールへ押し込んだ。
青森山田は後半16分にも速攻から右サイドで起点となったエースMF神谷優太(3年、湘南内定)がスペースへ配球。これに走りこんだMF吉田開(3年)が丁寧に折り返す。そしてスルーした鳴海の後方から飛び込んできたMF高橋壱晟(2年)が右足ダイレクトで3点目のゴールを突き刺した。聖和学園は22分に初戦2ゴールのMF谷田光(3年)が持ち込み、こぼれ球をSB釼持雅也(3年)が左足シュート。点差が開いてもスタイルを変えずに攻め続けるが、青森山田は23分、再び理想の形からゴールを破る。自陣でインターセプトした北城がすかさず前方のスペースへボールを送って2対1の状況をつくると、走りこんだ神谷がダイレクトのラストパス。これを鳴海が右足ダイレクトで決めて4-0とした。終盤、聖和学園のスルーパスがゴール前に抜けるシーンが何度かあったが、青森山田はU-18日本代表GK廣末陸(2年)が守備範囲広く対応。そして39分、高橋のスルーパスを交代出場のMF三上孝太(3年)がヒールで落とし、最後は神谷が左足で5点目のゴールを決めた。
東北勢対決で快勝した青森山田にとっては夏の反省を活かす白星でもあった。聖和学園と同じくドリブル攻撃を軸とする久御山高(京都)と対戦した全国高校総体初戦で敗戦。引いてしまったことで後手に回り、1-2で競り負けてしまった。北城は「同じ失敗をしないぞ、という夏の敗戦を活かせた試合ができたと思います。学んだことを凄く活かせてよかった」と喜んだ。よりチャンスをゴールに結びつける点など課題はもちろんあるが、好守から青森山田らしいサイド攻撃、カウンターでの連続得点で快勝。U-18日本代表候補CB常田克人(3年、仙台内定)は「東北の中では負けられないというのはあったので勝てて良かった。これから厳しい試合になってくると思うけれどやってきたことしかできない。逆に言えば、それができれば優勝できると思う。きょうもしっかり出せたので、あしたも出せるようにしたい」。3回戦は桐光学園との優勝候補対決。黒田監督も「やってきたことを信じてやるしか無い」と語るように、自分たちが取り組んできたことを大一番で再び、しっかりと発揮して白星を掴みとる。
[写真]前半35分、青森山田は嵯峨が決めて2-0
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)
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【特設】高校選手権2015
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2015
DAYS×ゲキサカ連動企画「全国のつくしを探せ!」特設ページ
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東北のチームとして唯一、高校年代最高峰のリーグ戦である高円宮杯プレミアリーグに所属。青森山田にはJクラブユースや高体連トップチームとの18試合で最後まで優勝争いをして2位になったプライドがあった。対戦した聖和学園は“セクシー対決”と評された野洲高(滋賀)との初戦を7-1で快勝。「東北のドリブル軍団」は非常に良い形で2回戦に臨んできていたが、青森山田は黒田剛監督の「我々が東北のトップだということを示す大一番だ」というメッセージの下、左SB北城俊幸主将(3年)が「同じ東北でも自分たちはプレミアでトップチームがやっているというプライドがあったので、絶対に負けられない気持ちでチーム全員で戦えたと思います」と振り返る戦いを見せて東北ナンバー1チームであることを示した。
青森山田は立ち上がりから2人、3人がボールホルダーに襲いかかるアグレッシブなディフェンスをする同時に、1年間プレミアリーグで磨いてきた「ゴールを隠す守備」(黒田監督)。全体でバランスを取りながらボールとゴールとの間に立つことでシュートコースを開けず、また、ドリブルで抜きに来る聖和学園との間合いを複数で一気に詰めてボールを奪い取る。聖和学園の加見成司監督は「(引かれるよりも)出てきたほうがいいかなと思っていた」と語ったが、ドリブルとハイプレスとの駆け引きを制したのは青森山田の方。そして黒田監督が「運動量的には絶対にウチの方があると思っていたので、左右へどんどんボールを動かしていくことがひとつと、それから枚数かけて攻撃してくるので速く攻撃すること、サイドから速く突破をしていくこと」と説明した理想の攻撃を体現して大量得点に繋げた。
前半8分、青森山田はMF住永翔(2年)が左サイドへ展開すると、素早いワンツーで縦へ切れ込んだ北城が左足でクロスを放り込む。ニアサイドでFW鳴海彰人(2年)が潰れてファーへ流れたボールに詰めたMF豊島祐希(3年)が右足シュート。GKは反応していたものの、DFに当たってコースの変わったボールがそのままゴールネットへと吸い込まれた。先制した青森山田だが、聖和学園の独特なドリブル攻撃の前にファウルを犯すことも少なくなかった。それでも、ゴールに近い位置までボールを運ぶことを許さず。そして一瞬の隙を突いて追加点を奪った。
35分、自陣で得た右スローインからSB原山海里(3年)がクイックでのロングスロー。聖和学園DFが頭で弾くが、クリアボールを拾った鳴海が間髪入れずに縦へ仕掛けて突破する。そして低い弾道のクロスを入れると、走りこんだMF嵯峨理久(2年)が右足ダイレクトでゴールへ押し込んだ。
青森山田は後半16分にも速攻から右サイドで起点となったエースMF神谷優太(3年、湘南内定)がスペースへ配球。これに走りこんだMF吉田開(3年)が丁寧に折り返す。そしてスルーした鳴海の後方から飛び込んできたMF高橋壱晟(2年)が右足ダイレクトで3点目のゴールを突き刺した。聖和学園は22分に初戦2ゴールのMF谷田光(3年)が持ち込み、こぼれ球をSB釼持雅也(3年)が左足シュート。点差が開いてもスタイルを変えずに攻め続けるが、青森山田は23分、再び理想の形からゴールを破る。自陣でインターセプトした北城がすかさず前方のスペースへボールを送って2対1の状況をつくると、走りこんだ神谷がダイレクトのラストパス。これを鳴海が右足ダイレクトで決めて4-0とした。終盤、聖和学園のスルーパスがゴール前に抜けるシーンが何度かあったが、青森山田はU-18日本代表GK廣末陸(2年)が守備範囲広く対応。そして39分、高橋のスルーパスを交代出場のMF三上孝太(3年)がヒールで落とし、最後は神谷が左足で5点目のゴールを決めた。
東北勢対決で快勝した青森山田にとっては夏の反省を活かす白星でもあった。聖和学園と同じくドリブル攻撃を軸とする久御山高(京都)と対戦した全国高校総体初戦で敗戦。引いてしまったことで後手に回り、1-2で競り負けてしまった。北城は「同じ失敗をしないぞ、という夏の敗戦を活かせた試合ができたと思います。学んだことを凄く活かせてよかった」と喜んだ。よりチャンスをゴールに結びつける点など課題はもちろんあるが、好守から青森山田らしいサイド攻撃、カウンターでの連続得点で快勝。U-18日本代表候補CB常田克人(3年、仙台内定)は「東北の中では負けられないというのはあったので勝てて良かった。これから厳しい試合になってくると思うけれどやってきたことしかできない。逆に言えば、それができれば優勝できると思う。きょうもしっかり出せたので、あしたも出せるようにしたい」。3回戦は桐光学園との優勝候補対決。黒田監督も「やってきたことを信じてやるしか無い」と語るように、自分たちが取り組んできたことを大一番で再び、しっかりと発揮して白星を掴みとる。
[写真]前半35分、青森山田は嵯峨が決めて2-0
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)
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