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「去年とは違う。僕らの方が強い」…自信を得た日本文理が“リベンジ”達成で決勝へ!! 帝京長岡は5連覇ならず

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日本文理高帝京長岡高を下して決勝進出

[11.3 選手権新潟県準決勝 日本文理 2-0 帝京長岡 新発田市五十公野公園陸上競技場]

 新潟県予選準決勝・日本文理高vs帝京長岡高の一戦は、プリンスリーグ北信越でも首位争いを演じた(帝京長岡が1位、日本文理が2位で順位確定)両雄がぶつかり合った一戦は、2-0で日本文理が制して決勝進出を果たした。

「先制した後のメンタリティーが去年とは違った」。駒沢隆一監督がこう口にしたように、両者は昨年度の選手権県予選準決勝でも顔を合わせ、この時は日本文理が2点を先行したが、前半終了間際に1点を返されると、後半に3点を奪われて2-4の敗戦を喫した。

 あれから1年、彼らは大きく成長した。9分にMF塩崎温大(3年)がゴール前の混戦から先制弾を蹴り込んでからも、チームはボールを繋いでくる帝京長岡に対し、全体のスライドとプレッシングの速さを駆使し、チャンスらしいチャンスを作らせなかった。攻撃面でもFW曾根大輝(3年)とFW杉本晴生(3年)のフィジカルと技術を兼ね揃えた2トップを軸に、カウンターだけではなく、ボールを握りながらゲームテンポを落ち着かせるなど緩急をつけながら追加点を狙った。

 思うようにリズムを作れない帝京長岡は、29分にエースのMF廣井蘭人(3年)に代えてMF山村朔冬(2年)を投入するなど流れを掴もうとするが、組織的な日本文理の前に同点ゴールが遠かった。後半、帝京長岡は全体のラインを押し上げて、さらに攻撃に厚みをもたらしてきたが、「想定内だったので、そこで最終的に守り切ることを選手たちは共通理解でもってくれていた」と駒沢監督が語ったように日本文理は落ち着いていた。

「中盤以降はしっかりとブロックを作ってから、前線の選手に深追いしないように指示を出してコントロールしました。耐えて相手のリズムを断ち切ろうとしました」とボランチの塩崎の的確な指示に全体が応える形で、守備に歪みを見せなかった。

 そして14分、日本文理は曾根のプレスが相手GKのパスミスを誘発し、その流れから曾根がドリブルシュート。追加点を挙げた後は4バックから3バックに切り替え、守備時はウイングバックを落とした状態の5枚でブロックを作った。17分には帝京長岡のFW土門遥斗(3年)にゴールに迫られるが、ゴールラインを割る寸前でDF小舟戸結太(3年)がスライディングで掻き出した。

「選手たちが試合運びの意図を理解して進めてくれた」と駒沢監督が讃えたように、日本文理は最後まで帝京長岡に隙を与えず、昨年のリベンジとなる勝利を掴み取った。

「試合前には昨年の試合のイメージがちょっと浮かびましたが、『去年とは違う。僕らの方が強い』と信じることができた」。試合後、曾根は笑顔でそう答えた。駒沢監督を始め、選手たちが「去年とは違う」と異口同音するのは理由がある。今季、県リーグからプリンスリーグ北信越に復帰。冒頭で触れた通りに9勝4分3敗で2位となり、12月の高円宮杯プレミアリーグ参入戦に駒を進めている。帝京長岡との対戦成績も1勝1分と負けなしだった。

「プリンスの経験は物凄く大きくて、強度は高くていい経験ができたし、結果も出て自信になった。先輩たちに感謝しています」(曾根)

「プリンス北信越のハイレベルな中で、先行逃げ切りも、リードされる展開も、追いつかれる展開も経験してきたからこそ、試合運びという面で落ち着いてやれるようになっている」(駒沢監督)

 一方、敗れた帝京長岡は5連覇の目標が潰えた。「メンバーを固めないで競争させながらチームを作ってきましたが、ここでチームとしての成熟度の差が出てしまった。選手たちには『チーム内競争』を強調して、今日も誰が出るかは直前まで分からない状態で、最初に蘭人を代えましたが、選手起用、ここまでの持っていき方も含めて、僕の責任です。選手は本当に一生懸命やってくれました」と谷口哲朗総監督は選手たちを労った。これで今年の活動が終わったわけではなく、12月には日本文理同様にプレミア参入戦が待っている。

「プレミア昇格に向けて、球際の強さ、走り勝つことを最後までやり切りたい」(谷口哲朗総監督)。これまで何度も挑み続けて叶わなかった悲願のプレミア昇格に向けて、チームは敗戦のショックを乗り越え、再び一つになろうとしている。

 両チームの思惑が交錯し、好ゲームとなったこの試合。制した日本文理はついに悲願達成まで後一歩に迫った。「高校に来て1度も全国を経験していないので、必ず最後の最後で出場をしたい。決勝は落ち着いていつも通りに戦いたいです」(曾根)。5大会ぶり2度目の選手権出場に向けて、日本文理は『新潟の聖地』ビッグスワンで躍動を狙う。

(取材・文 安藤隆人)
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