beacon

神戸弘陵が悲願の県内三冠達成!! 「彼らの自信になる」と成長を加速させ、全国へと乗り込む:兵庫

このエントリーをはてなブックマークに追加

チーム初の県3冠を達成した神戸弘陵高の選手たちが集合写真に収まる

[11.12 選手権兵庫県予選決勝 神戸弘陵高 3-1 神戸科技高 ノエビアスタジアム神戸]

 第102回全国高校サッカー選手権兵庫県予選決勝が12日に行なわれ、神戸弘陵高神戸科学技術高が対戦。3-1で勝利した神戸弘陵が3年ぶり12回目の選手権出場を決めた。

 神戸弘陵が今年掴んだタイトルは新人戦、インターハイに続き、3つ目。県内では頭一つ抜けた存在であるため、元から対戦相手に警戒されるチームではあるが、タイトルを積み重ねるとより警戒され、勝利の難易度は上がる。警戒網を打ち破っての三冠達成は価値があり、改めて強さを証明する一年となった。

 一発勝負のトーナメントを勝ち上がる準備も万全だった。前半3分には、「選手権ではセットプレーが大事になってくる。決勝まで1週間あったので、いろいろ準備してきた」と谷純一監督が口にするリスタートから試合を動かす。ショートコーナーのリターンをMF北藤朔(3年)が後ろに下げると、DF阪上聖恩(2年)がゴール前にクロス。待ち構えたDF柴尾美那(3年)が頭で合わせて、ゴールネットを揺らした。

 1点を奪ってからも、神戸弘陵らしいパス回しからコンビネーションの崩しで神戸科技を押し込む。9分には自陣で奪ったボールから、素早くFW馬場悠平(3年)を経由し、FW石橋瀬凪(2年)がシュート。12分にはMF木津奏芽(2年)のスルーパスから、MF佐波昂大(3年)がゴール前に抜け出そうとしたが、神戸科技DF河邉天志(3年)の巧みなカバーリングに遮られた。

 押し込みながらも追加点が奪えず、繋ぎでのミスも見られたが、カウンターへの対策も織り込み済み。「科技高は決勝まで無失点で来ている。得点の形を見たらショートカウンターとロングスローが多かったので、そこの準備はしてきた」(谷監督)。持ち前の守備センスで先読みし続けたDF岡未來(3年)と柴尾、アンカーのMF大井孝輔(3年)の3枚でリスク管理を徹底し、1点リードで前半を終えた。

 後半に入ってからも神戸弘陵が試合の主導権を握り続ける。後半16分には佐波がDFの背後に浮き球を入れると、馬場が抜け出しに成功。切り返しで相手DFをかわすと、最後は後方から走り込んだ佐波がボールを貰い直して、ゴールネット揺らした。

「チャンスは多く作れるチームなので、焦らずに続けていけば必ず2点目は入る。後半の20分までにもう1点獲れたら良いなと思っていたら、10分過ぎに獲れたので2点目がかなり大きかった」。指揮官の言葉通り、追加点を奪ったことで精神的な余裕も生まれる。19分には馬場が前線からのプレスで相手DFのミスを誘うと、そのまま無人のゴールに流し込み、3点目をマーク。24分にも北藤のパスから、木津がクロスバー直撃のシュートを放つなど最後まで攻撃の手を緩めない。

 ただ、神戸科技もこのまま引き下がるわけにはいかない。21分にはFW桑原輝(3年)からのボールを受けたFW岡田琉之介(3年)がゴール前まで持ち込んでシュートを放つなど、虎視眈々と1点を狙いに行く。33分には途中出場のDF森本乾仁(3年)が左サイドからクロス。河邉がヘディングで落としたボールをFW桑原輝(3年)がダイレクトで押し込み、1点を返して3-1で試合を終えた。

 県内三冠は神戸弘陵にとって悲願だった。1度目のチャンスが訪れたのは2013年。新人戦、インターハイで県の頂点に立ったが、選手権は関西学院高に準々決勝で敗れた。2度目のチャレンジとなった2018年も2冠を達成したが、選手権は3回戦・神戸国際大附高の前で涙を飲んだ。

 過去2年は新人戦でタイトルを手にしながらも総体で敗れてきたため、ようやく訪れた好機にかける気持ちは強かった。夏以降は三つ目のタイトルを掴み取るため、更なるレベルアップを図ってきたこともあり、喜びもひとしお。主将の岡は「自分がキャプテンの代で三冠を獲りたいと思っていたので凄く嬉しい」と満面の笑みを浮かべる。

 チーム史上初の偉業は選手たちの成長を加速させるのは間違いない。谷監督は「3冠は彼らの自信になると思うので、この自信を全国に上手く繋げてあげたい」と続ける。選手権の舞台で狙うのも頂点のみ。今度は全国で神戸弘陵の強さを見せつける。

(取材・文 森田将義)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
森田将義
Text by 森田将義

TOP