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[選手権]左足骨折の流経大柏MF吉田、同点アシストもPK失敗に「申し訳ない」

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[1.8 全国高校選手権準決勝 流通経済大柏2-2(PK2-3)久御山 国立]

 「申し訳ない」。左足小指を骨折したまま戦ってきた流通経済大柏のMF吉田眞紀人(3年)はPK戦1人目に登場。「外すイメージはあまりなかった」と振り返ったが、骨折している左足から放たれたシュートは「イメージとは全く違う」コースへ飛び、久御山GK絹傘新(3年)に抑えられた。

 初戦前日の1月1日に骨折したMFは4試合連続でベンチスタート。1点を追う前半43分、同じくベンチスタートとなった新潟加入内定のCB増田繁人主将(3年)から「雰囲気変えろ」とメッセージを受けてピッチに立った。初戦で左大腿部を骨折したSB中西孝太(3年)や増田主将、そしてスタンドの応援団らたくさんの思いを背負った吉田は期待通りに結果を出す。別格ともいえるボールキープからチャンスメークすると後半17分、右サイドからドリブルで中央へ切れ込み、MF杉山賢史(3年)へスルーパス。これを杉山が左足で決めて同点に追いついた。

 ただこの1年間、シュートセンスの高さと抜群の勝負強さでチームを牽引してきた吉田が、“らしさ”を発揮しきれない。本人は「怪我の影響はない」ときっぱり否定していたが、シュートの正確性を欠くなど、自身の良さを出し切ることできなかった。「自分が点取れなかったし、途中から入っている自分がもっと走って、自分が一番努力しなければならなかった」。

 左足小指の骨折は全治約2ヵ月とも言われる重傷。「チームに迷惑をかけて申し訳なくて、少しでも試合に出て力になれればと思った」と医師の制止を振り切って戦い続けた。だが、痛恨のPK失敗による終戦。負傷の後遺症など将来へのリスクよりも、チームのために戦い抜いたが目標の日本一をつかむことはできなかった。試合後、敗戦を一身に背負うように話し続けた吉田。だがもちろん、誰もが戦い抜いた背番号14を責めることはなかった。

[写真]流経大柏MF吉田

(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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