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[選手権予選]「下を向かなくなった」八千代、専大松戸振り切り8強へ:千葉

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[10.29 第90回全国高校選手権千葉県大会決勝T1回戦 八千代4-2専大松戸 鴨川]

 第90回全国高校サッカー選手権千葉県大会決勝トーナメント1回戦、09年度優勝の八千代対専大松戸戦はFW大塚颯樹(3年)の2得点などにより八千代が4-2で勝利。八千代は11月6日の準々決勝で流通経済大柏と戦う。

「自分たちの代はプリンスリーグもインターハイも成績を残せていない。選手権でしか自分たちは結果を残せない。だからやり切ろう、と言っている」。最後方からチームを引き締めるGK小林拓矢(3年)は伝統校の主将として、高校生活最後の大会となる選手権への思いを口にした。今夏の全国総体予選では準々決勝で敗退し、プリンスリーグ関東1部ではJユースの強豪との戦いの中で3勝2分11敗の9位に沈んでいる八千代。だが、最後の大会へ向けて「しぶとい」チームになってきている。

 序盤は八千代、専大松戸ともにボールが落ち着かない展開。八千代はスピードのある攻撃から左SB永戸勝也(2年)の好パスを繰り出し、エースFW柳澤圭(3年)や大塚がシュートにまで持ち込んでいたものの、専大松戸もFW竹浪克弥(3年)やMF逆井晴輝(2年)の個人技やショートパスでDFを剥がし、守備面では最終ラインが粘り強い対応。ピッチ、ベンチからも声がよく出るなど集中した試合を見せていた。

 それでも先制したのは実力で上回る八千代。31分、柳澤の左CKからファーサイドのSB石堂寛士(3年)が右足シュートをねじ込み先制した。その後もMF佐藤貴政(3年)の折り返しから柳澤がポストを叩くシュートを放つなど相手を押し込んだ八千代は後半5分、右サイドのスペースを突いた柳澤の絶妙な右クロスを大塚が左足ダイレクトで叩き込むファインゴール。2点差として試合の主導権を握る。

 だが、専大松戸は後半13分、ワンチャンスをものにして活気付いた。SB神矢賢太郎(3年)のロングフィードのこぼれ球を3列目から走りこんできたMF増山泰輔(2年)が右足で叩くとDFに当たってやや浮き上がったボールはGKの頭上を越えてゴールへと吸い込まれた。0-2で重い雰囲気だったチームが一気に盛り上がる。ただ八千代は失点からわずか1分後の14分、右CKの混戦から大塚が再び左足シュートを決めて3-1と突き放した。

 それでも17分に快足FW松本大地とMF野々下彰(ともに3年)を同時投入した専大松戸は18分、ディフェンスラインの背後へ飛び出した松本がGKをかわして右サイドを切れ込む。ポストに当たったラストパスを野々下がゴールへ押し込み、再び1点差へ詰め寄った。運動量の低下から前線からのプレッシャーがかからない八千代に対して、俄然勢いづいた専大松戸は縦パスに手島と野々下が次々と走りこんでくる。24分には、松本が左サイドでDFを振り切り、野々下が決定機を迎えるなど八千代を慌てさせる。

 だが砂金伸監督が「プリンスで打たれて、揉まれてチーム力は磨かれた。同点にされる気はしなかった」と評する八千代は終盤、きっちりと試合を締める。交代出場のMF南直志(2年)が献身的なプレッシャーでパスの出どころに蓋をするなど、相手の勢いを消すと柳澤や大塚、MF畠山祐介(3年)のキープ力を活かしてボールを渡さない。そして後半ロスタイムには柳澤のこの日3度目のアシストからMF佐川裕貴(3年)がダメ押しのヘディングシュートを決めて4-2。巧者ぶりを発揮して8強進出を決めた。小林拓は「連続失点せずに突き放すことができた。以前は失点した後とか声は出しているけど下を向いてしまっていることが多かった。今はそれがなくなった。(準々決勝で対戦する流経大柏戦は)受け身にならず、こっちから仕掛けていく。八千代らしいサッカーをしないと勝てないので、八千代らしいサッカーをして流経を倒す」
 
 今年のチームは中盤が定まらず、またプリンスリーグではどうしても守る時間が増えてしまったことから八千代らしいダイレクトを交えたスピーディーなパスワークをすることができなかった。ただ現在は毎日必ず時間を割いて“八千代らしさを出す”ためのトレーニングをしているという。砂金監督は準々決勝で対戦するV候補突破のカギに「アイディア」を挙げていたが、八千代は“らしく”攻めて“ジャイアントキリング”を起こすか。

[写真]後半10分、大塚のゴールを喜ぶ八千代イレブン

(取材・文 吉田太郎)
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